テニミュとは世界で最も霊界に近い場所!? ~男が観てみたテニミュ青春☆観戦記~【Part3】

 ついに天使まで登場したテニミュ。このミュージカルは残酷な天使ならぬ、全国な天使のテーゼ。アチコチで出現する墓標や棺桶しかり、もしや「世界で最も霊界に近付いちゃった場所」にいるのではないかという考えに支配され始める。ここで行われているのは、会場に集まった女性に過剰な幸せを詰め込んで昇天させるという巨大な儀式、生きづらい現世から一時離脱されるために、青春学園によって仕組まれた“萌え”型の合同大成仏祭なのではないか。どうりで、ありそうでなかった(ほぼありえない)青春の胸キュンでHPを削られ続ける命がけの潜入になっているわけだ。果たして、ここは本当に霊界への入り口なのか!? 青春学園の陰謀とは!? 次回「コートの中心で男を愛でたテニミュ」! サービス、サービス、サービスエース!

 やっぱり疲れてるのかもしれない。今、強引にこのレポを終わらせようとした。もう限界かもしれない。しかし、こんなに長編にしておいて、ここでラケットを置く訳にはいかない(おたぽる的にも筆者の命的にも)。プラス思考でガンガン進むことにした。

 不二の1勝により、命からがら優勝への道を繋いだ青学。今度の4回戦は、ダブルスのターン。青学の“ゴールデンペア”こと副部長・大石秀一郎(キャスト:山本一慶)&菊丸英二(キャスト:黒羽麻璃央)と、立海の“プラチナペア”こと赤髪の丸井ブン太(キャスト:安川純平)&スキンヘッドのジャッカル桑原(キャスト:塩田康平)による試合が始まる。ダブルスの試合はもう一度観ているので、今度は動揺せずに観戦しようと、悠然と構えることにした。

 試合開始直前、大石が「これが最後の試合だ」と語りかけると菊丸が「今までサンキュ!」と返す。中学3年生同士のペアであるゴールデンペアの気持ちと、大千秋楽へと向かうキャストの心情がシンクロし、こちらまでジンと来た。すると、耳を澄ませば客席から「きゅんきゅん」と小犬のような鳴き声が聞こえてくる。周りを見回してみれば、みんな一生懸命自分用の墓穴掘ってた。用意された墓のプレートには「死因:キュン死」って刻まれてたよね。ダブルスというのは、元来“キュンとする”ために作られた試合形式だったのか。テニミュからまた学びを得た。

 しかし、みんなのための「キュン!」を打ち砕くように、試合はプラチナペアの優勢で進む。赤髪&坊主ペアによる攻守バランスの取れた見事な連携で、ゴールデンペアの何かを縮み上がらせる。2対2でコート狭しと跳ね回り、激しいラリーが続く。乾&海堂VS柳&切原戦では各々のペアの強い信頼関係は見えたものの、プレイとしては個人VS個人が押し出されていた分、4回戦は連携に重きを置いたダブルスらしい戦いだ。ゴールデン、プラチナ、ゴールデン、プラチナ、金、白金、金、白金……目がちょっとチカチカしてきたところで、プラチナペアのアッパーなダンスナンバーが始まった。

「お~いコラ、タコ!」と歌い出すジャッカル。

 え、ジャッカルが言うの。イケメンだけど、それジャッカルが言っちゃう? スキンでヘッドなジャッカルが言っちゃう? 先制のサービスエース、ジャッカル! 「インサイド!」つって、すぐに旗上げた。動揺している間にも、繰り返し脳内にガスガス叩き込まれる「プ・ラ・チ・ナ・ペアー!」「所詮ッこんなもんだろい!」というノリの良いフレーズ。だんだんウズウズしてくる。あ、ダメ。

ププププ、プ・ラ・チ・ナ・ペアー!

 言うよね。言っちゃうよね。なんだ、プラチナペア、見かけのヤンチャさに比べて随分カワイイんじゃない? ゴールデンペアの二番煎じみたいなネーミングだが、“音”的には「プラチナペア」の方がかわいらしい響きだし。タコ発言もこんなもんだろい!って気がしてくる。1回戦、2回戦、そして3回戦の不二VS仁王戦と硬派で重めの試合が続いた後に仕掛けてきたノリノリのテンションが、ちょっとしたナイアガラ?っていうくらいの落差で、安心するようなしないような…。水しぶき涼しいな、みたいな。残念なことに、「プ・ラ・チ・ナ・ペアー!」は油断していると今後うっかり口ずさみそうな悪寒がする。

 丸井ブン太は、ベンチでも試合中でもフーセンガムを噛み続けるオチャメなキャラ。単純な演出のようで、歌あり・踊りあり・セリフありのミュージカルでガムを噛み続けながらこなすというのは、キャストの負担も大きいんじゃなかろうか。ぼんやり舞台を観ながらそんなことを思い、変化球の役柄(すべての役が変化球かもしれないが)をハツラツと演じる安川純平にこっそり拍手を送った。

 舞台上に坊主が2人いる。このパートで筆者を悩ませたものだ。ジャッカルのほかに、四天の石田銀(キャスト:山内圭輔/あの有名な「ワシの波動球は百八式まであるぞ」という金言を残したキャラ)というスキンヘッドがおり、筆者は何度も同一人物と見間違え、錯乱を起こしていた。「あれ、ジャッカルなぜスタンドに……って石田銀か!」を3セットは繰り返した。途中から、そのスキンヘッズをこっそり「ゴールデンボールペア」と心の中で呼び始めていたことについては今謝罪しておきたい。

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