・原因はほぼブラム・ストーカーにあり
ヴラド3世はもうひとつ、父ヴラド2世が「ドラクル(Dracul・竜)」の二つ名を持っていたことから、これに「子(a)」の意味を付けた「ドラキュラ(Dracula・竜の子)」という二つ名を持っていました。これは後世、キリスト教においての竜は悪魔の化身とされていた所(記事参照)から、ヴラド3世の悪魔的イメージに拍車をかけたと考えられます。
ブラド3世自身は「串刺し公」よりも「竜の子」の二つ名を気に入っていたようで、本人直筆と思われる「ヴラド・ドラキュラ」のサインが複数現存しています。
そして19世紀、ヴラド3世のエピソードを小説『ドラキュラ』の作者ブラム・ストーカーの聞き及んだことから、ヴラド3世は同作品に登場する吸血鬼、ドラキュラのイメージに取り込まれました。
ただし小説『ドラキュラ』内では、ヴラド3世についてはまったく触れられていないため、モデルとなったドラキュラはともかく、ヴラド3世と吸血鬼は無縁なはずでした。ところが小説が大ヒットし、ヴラド3世がドラキュラのモデルとなった逸話が有名になると、残忍な伝承の数々と共に両者は混同されていき、徐々にブラド3世自身が吸血鬼である、という勘違いが広まってしまったのです。
――さて、いかがでしょうか。元ネタを知れば、キャラクターのエピソードや設定をより深く掘り下げられ、別の角度からも楽しめるようになるはずです。
これら史実や伝承の元ネタにおけるキャラクターの存在を、作品を楽しむ上でのスパイスにして頂ければ幸いです。
■文・たけしな竜美
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