さて、一通りの主要キャラクターが登場し、どんどん楽しくなってきた『亜人ちゃんは語りたい』(作:ペトス、講談社/TOKYO MXほか)。アニメ内において、高橋先生が亜人ちゃんたちを理解するため、伝承や物語を詳しく調べていたのは印象深いところでしょう。
なかには、先生のように原典を調べ「亜人ちゃんを語りたい」方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は「これさえ読めば亜人ちゃんたちの元ネタが(大体)わかる」、厳選した書籍をご紹介します。
■小鳥遊ひかり(ヴァンパイア・西洋の民間伝承)
小説『吸血鬼ドラキュラ』(著:ブラム・ストーカー/1897年)
一言でまとめるならば「現代創作作品に登場する全てのヴァンパイアの原典」です。皆さんの知っている「ヴァンパイア(吸血鬼)」という怪物は、すべてこの小説及びそれを原作とした映画『吸血鬼ドラキュラ』(1958年)から来ている、と断言できます。
この作品内にはヴァンパイアの外見、服装、身体的特徴、習性、趣味嗜好、行動パターン、能力、制約、苦手なもの、弱点、滅する方法、ヴァンパイアハンターなどなど、いわゆる「ヴァンパイア」の持つ特徴や個性、設定、イメージのすべてが描かれています。『亜人ちゃんは語りたい』における、ひかりの特徴もまたしかりです。
ちなみに、ヴァンパイアを扱った作品に時々登場する「アルカード」という名前は、ドラキュラのアルファベットつづり「Dracula」を逆から読んだ「Alucard」が由来です。海外では「新作吸血鬼映画にこの名前が出ると、客席から失笑が響く」と言われるほどの、定番中の定番ネタとなっています。
■町京子(デュラハン・アイルランドの民間伝承)
小説集『スケッチ・ブック』内収録「スリーピー・ホローの伝説」(著:ワシントン・アーヴィング/1820年)
元ネタが民間伝承であるため、デュラハンに似た「アメリカの首無し騎士伝説」をモチーフとした作品となります。この小説を原作とした映画『スリーピー・ホロウ』(99年)もありますが、ショッキングな内容を含むため、そのような描写が苦手な方にはオススメできません。
……と、ここまで紹介しておいて何ですが、元々のデュラハンは「首のない人間の姿をした妖精」です。首なしの甲冑騎士というのは、昨今の各種作品からのイメージであり、原典とは異なるものです。
ただし、外見のバリエーションとして「自分の首を手で持って現れる」というものもあり、京子ちゃんの外見は本来の伝承に比較的近いものと言えます。
妖精デュラハンの持つ役目は「人間に死を予告する」ことです。デュラハンは首なし馬に引かせた馬車に乗ってどこからともなく現れ、誰かの家の前に止まります。これが死の宣告であり、その家からは近いうちに死者が出るのです。この時に家の扉を開けると、デュラハンは家人に血をぶっかけるそうで、恥ずかしがり屋なのかもしれませんね。
ちなみに、現代における「妖精」とは、ティンカーベルのような「小さくてかわいい、空を飛ぶマスコット的存在」という意味に取って代わられています。ですが元々の、ヨーロッパにおける妖精とはデュラハンのような存在を指すもので、日本で言うところの「妖怪」のような意味を持つ言葉なのです。
1冊読めばだいたいわかる! 「亜人ちゃん“を”語りたい」人へ贈る彼女たちの原典のページです。おたぽるは、アニメ、話題・騒動、亜人ちゃんは語りたい、ぺトス、たけしな竜美、ジョヴァンニ・ボッカッチョ、スケッチ・ブック、デカメロン、ブラム・ストーカー、ワシントン・アーヴィング、吸血鬼ドラキュラ、小泉八雲、怪談の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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