ミリオタライター・二木知宏の「武器で見る映画」第8回

アサシンブレードは存在しなかった? 『アサシンクリード』で学ぶ“武器と暗殺の歴史”

アサシンブレードは存在しなかった? 『アサシンクリード』で学ぶ武器と暗殺の歴史の画像1映画『アサシンクリード』公式サイトより

 映画に出てくる実在武器を紹介する「武器で見る映画」、第8回は『アサシン クリード』です。原作は僕も大好きなユービーアイソフトの同名ゲームソフト。この「アサシンクリードシリーズ」は史実を元に作られており、実在の人物、建造物、出来事、そして武器などが多く登場します。

そんなゲームソフトの映画化ですから、心踊らせて鑑賞してまいりました。『アサシン クリード』(原題: Assassin’s Creed)2016年公開、ジャスティン・カーゼル監督、マイケル・ファスべンダー主演で、映画の舞台は現代と15世紀スペインです。

 まず簡単に作品を紹介すると、自由意志を尊ぶ「アサシン教団」と、人類の意志を支配しようとする「テンプル騎士団」の何世紀にもわたる争いの物語です。主人公たちアサシンは「アサシンブレード」と呼ばれる、籠手から短い刃が飛び出る暗殺用の武器でテンプル騎士団の戦士を暗殺していきます。そもそもアサシンとは、暗殺者や刺客という意味で、語源は諸説あります。 

 それでは、武器を紹介していきましょう! 「アサシンブレード」って実在するのかという疑問をお持ちの読者諸氏に答えます。「ありません!」。じゃあ、いったい何をどう紹介するのか? ここでは、実在した暗殺用武器の数々と、舞台となっている15世紀スペインで使用されていた武器を紹介することにします。

 まずは、「アサシンブレード」の元になったと思われる暗殺武器を紹介します。それは手甲鉤(てっこうかぎ)、忍者が暗殺用に使っていた武器で、熊手みたいなものがついた手甲です。「鉤爪」と記したこうがイメージしやすいかもしれません。「いやいや! こんな武器で殺傷できるの?」って思いますよね? でも、できるんです。それは簡単で、鉤に毒を塗って、毒殺します。

 忍者から連想する手裏剣、忍手裏剣。手裏剣は大きく分けて棒状の棒手裏剣と、一般的なイメージの十字手裏剣、八方手裏剣などの車手裏剣の二種類に分類できます。車手裏剣の方は、とりあえず、投げて体に当たると、傷つくような形状をしています。手裏剣に毒を塗っておけば、暗殺、あるいは深手を負わすことができます。そして、手裏剣を使う手裏剣術には投げる以外の方法もあって、手に持った状態で突き刺すのです。刀を所持した状態で併用することもあります。

 もうお気づきでしょうか? そうです。これは、劇中やゲーム内でのアサシンの暗殺方法にそっくりなんです。じゃあ、モデルは忍者かというと、そうとは限りません。なぜなら手裏剣や手甲鉤なんてものは世界各地にあり、起源もわからないほど。暗殺を達成するために自然発生的に誕生したという説もあります。他にも暗殺用武器として、似ているものが角指(かくし)と呼ばれるものです。指輪のような形状で、掌の内側にトゲが向くよう装着します。毒を塗れば暗殺用としても使えますし、相手を掴んだとき、動くと激痛が走るため、捕縛用武器としても使えたそうです。

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