ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――ネットに動画が晒された“暴走系”元有名ヤラカシの末路（前編）

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＜平成ヤラカシ史とは……ジャニオタの間ではインターネットで語ることがタブーとされている「オリキ」や「ヤラカシ」といったジャニーズの裏追っかけ文化について山野萌絵がさまざまなオタク・元オタクに取材し、これまで文章に起こされてこなかった歴史を紐解こうと頑張るシリーズです＞

【これまでの記事はこちらから】
①Hey! Say! JUMP・中島裕翔のファン逮捕で話題になった「平成処女軍団」“ヤラカシ”の存在は“オリキ”の存在と表裏一体!?

②ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――元Jr.担・20代女性の場合「『強め』に潰されるのが怖かった」

③ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――元キスマイ担・30代女性が明かすその変遷「メルマガや前略でレポが流行」

④ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――「平成処女軍団」と時期を共にした女性「Jr.とヤラカシの繋がりはある」

⑤ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――「自担に対する気持ちをこじらせすぎて」“リアスト化”した元Jr.担の告白

　さて、5回にわたって続いてきたこの連載もいよいよ最後。ラストを締めくくるのは、未だにYouTubeに電車に並んで座って自担とイチャついている動画が載り続けているヤラカシ・ゆりさん（20代前半、仮名）。ちなみに現在のゆりさんはヤラカシ行為からは一切足を洗い、普通の社会人として普通に働いています。当時を振り返ると「やりすぎたって感じはあった、反省はあります」とのこと。

“YouTubeに動画が載った人”といえば読者諸賢の中にも「あの人か……」と思い当たる方がいるはずです。恐らく2010年代後半のヤラカシで最も有名なのはこの人ではなかろうか？　というくらいに強烈なエピソード。ゆりさんの担当の名前をYouTube検索に打ち込むとサジェストに「ヤラカシ」と出てきます。相当です。

「でも自分はヤラカシっていうよりかはリアストでしたよ」とゆりさんは笑います。やはりヤラカシの中にも、全員ストーカーであることは前提にしつつ暗黙の属性分けが存在しているようで。

「『ちゃっかり』はヤラカシに許されればヤラカシになる。ヤラカシがちゃっかりを仲間に引き込むかどうかの基準って、粘り強いかどうか。怒ってもめげずに何回も何回も追っかけて、『こいつやばいな』って思ったらヤラカシになってもいいよって言うんです。でも友達の情報を全部売れって言われますね」

　連載第2回に登場してくれたちゃっかり系ヤラカシのまゆさんも全く同じことを言っていたので、ここらへんの伝統は約6～7年経っても変わっていないようです。

「友達の情報を売ってヤラカシになる子は多かった。自分はちゃっかりの身分で友達と一緒に動いてるのが楽しかったし、ヤラカシに誘われたことはあるけど友達を売れなかったです。みんな仲良かったから」

　これがストーカーでなく、スポ根アニメとかだったら感動で涙を禁じ得ない友情の強固さです。

「自担はグループに属してたんだけど、私のせいで干されてデビューから遠ざけられてしまって。オタクに対応したってこと自体が罪みたいです。あの動画が流出した次の日に『ザ少年倶楽部』（NHK BSプレミアム）の収録があって、いつもグループ名が呼ばれて出てくるんですけど、そこに自担がいない。あれ？　って思ったらめっちゃ後ろの端っこの方にいた。結局掲示板でも私のせいだって叩かれました。で、ヤラカシの友達が、友達の自担から聞いたのは『レッスンでつーこさんに紙を配られて、ゆりには気をつけるように、話しかけられても無視するようにって注意喚起がなされた』とか」

　名指しでプリント配布という話はさすがに私も初めて聞いたので、私も聞きながら普通に頭を抱えていました。

「最初にヤラカシになったきっかけは、Sexy Zoneのコンサートで純粋にファンとしてうちわを持ってて、自担に何を見せても無視されるから、そのことにめっちゃイライラして『結局追っても追わなくても干されるなら直接言ったほうがいいじゃん』と思って。その後に友達を連れて行って学校の最寄り駅で待ってて、初めてヤラカシとして話したのが例の流出動画の時だったんです」

　なんと、あの動画は初ヤラカシだったとのこと。衝撃です。

 
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