ミリオタライター二木知宏の「武器で見る映画」第10回

スカヨハ攻殻『ゴースト・イン・ザシェル』で語りたい“あの銃”

 公安9課の面々が使用している武器を見ると、恐らく、正式採用銃はグロッグと、ヘッケラー&コッホ社の「MP5K」だろうということがわかります。こういうので、ちゃんと武器のこと考えている映画かどうかわかるんですよ。グロッグ17や19は9mm×19弾丸を使用できます。MP5Kも9mm弾丸で、併用できるわけです。

 これはどうしても紹介したいって武器があります。トグサが使う銃についてです。トグサっていうのはキャラクターの名前なんですが、作品によっては主役級に活躍するやつなんです。部隊の中では新人で、義体化率も部隊内で一番低い、一番生身の人間なんです。そいつが使うハンドガンについてです。トグサの愛用の銃は「マテバ」。マテバは「俺はマテバが好きなの」というトグサの名台詞で、一気に日本での知名度を高めた回転式拳銃メーカーです。回転式拳銃の多くは、シリンダーの上部の弾倉から弾丸を発射するのですが、マテバは違います。一番下です。一番下の弾丸を発射します。これにより、上に跳ね上がる力を軽減する作用があるとされています。実際のところどうなのかは諸説ありますが、マテバ社のいくつかある銃のモデルの共通点は、この下部からの弾丸発射です。長いこと話しましたが、これは前置きです。

 今作でトグサが使う銃はイタリアのチアッパ・ファイヤアームズ社製、回転式拳銃「ライノ」です。09年に登場した、新しい拳銃で、当時は「SF世界から出てきたリボルバーだ!」としてちょっとした話題になったんですよ。「じゃあ、今作はマテバじゃないってこと?」そこです! そこが深い部分なんです。このライノを設計したのはアントニオ・クダッソとエミリオ・ジゾーニの2人ですが、実はマテバのリボルバーを設計した2人なんです。そんな彼らが新しく作った回転式拳銃がライノなのですね。なので、マテバの特徴である銃身が下方にあり、一番下の弾倉から弾丸を発射するという機構は一緒。こりゃたまらんわけですよ。ぜひとも期待して鑑賞していただきたい。

 日本人原作の作品がハリウッド映画化される! そんなことも珍しくなくなっていく今日この頃ですが、これを機に、過去の『攻殻機動隊』関連の作品を一気に見るなんてどうでしょうか?

 その中で、時代の移り変わりを感じたり、作者の先見性を感じたりする部分も多いはず。僕がそれを感じるのは、登場人物たちの武器の種類やカスタマイズ方法、デザインだったりするわけです。いや〜、武器って本当にいいもんですね〜。
(文=二木知宏[スクラップロゴス])

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