ミリオタライター二木知宏の「武器で見る映画」第10回

スカヨハ攻殻『ゴースト・イン・ザシェル』で語りたい“あの銃”

スカヨハ攻殻『ゴースト・イン・ザシェル』で語りたいあの銃の画像1映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』公式サイトより

「武器で見る映画」記念すべき第10回は、ルパート・サンダース監督作品の『ゴースト・イン・ザ・シェル』(Ghost in the Shell 2017)です。原作は、士郎正宗氏の漫画『攻殻機動隊』(講談社)です。僕の大好きな漫画で、映画やテレビアニメなどで映像化されてきた名作ですね。今回の実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』は、“スカヨハ攻殻”と呼ばれ区別されています。名作映画『マトリックス』も1995年押井守監督のアニメ映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のオマージュ作品だと製作者自ら話しているくらいです。今回の初の実写化に際してスカーレット・ヨハンソンを主演に据え、ビートたけしも22年ぶりにハリウッド出演。「これは見るっきゃない!」というわけで、まずは簡単に舞台を説明しましょう。

 舞台は近未来、映画内で詳しくは言及されていませんが、原作では2020年代、幾度かの世界大戦を経て、多くの難民を受け入れている日本。人々の多くがネットに脳から直接接続することができる電脳化手術を施されており、さらには肉体もサイボーグ技術で義体化されている。複雑化されたサイバー犯罪や頻発するテロに対抗すべく少佐率いる「公安9課」の活躍を描いてます。 

 映画冒頭、ビル内でスーツの男たちが要人を急襲します。その武器はオートオードナンス社製短機関銃「トンプソン」とIWI(イスラエル軍事工廠)の短機関銃「ミニウージー」です。両方ともかなり改造されていて、トンプソンは照準器がブリーフケースの持ち手とつながっています。トンプソン自体はかなり古い銃で、ギャング映画でドラムマガジンで乱射するシーンが有名だと思います。それがかなり洗練され、現代的なフォルムで生まれ変わっています。なぜ、トンプソンだとわかったかというと、マガジンの位置と形状がポイントでした。

 そしてもう一方、ミニウージー。ウージーはマガジンが拳銃同様、持ち手の中に入る形状。そのため、連射すると銃がどんどん手前にグググっと押し込まれる感覚があるってインタビューで語っていた軍人がいました。スーツ姿で、ブリーフケースに短機関銃を隠す、これってモデルはアメリカ大統領を守るシークレット・サービスのオマージュかな? 事実、レーガン大統領暗殺未遂事件のとき、警護のシークレット・サービスがブリーフケースにウージーを隠し持っていたという記録もあります。

 その急襲したテロリストを鎮圧すべく、スカーレット・ヨハンソン演じる少佐が熱光学迷彩で透明化し、「グロッグ19」片手に立ち向かっていくわけです。熱光学迷彩とは光の屈折を利用して、周囲の背景に溶け込み透明化するSF技術。侮るなかれ、現実でも既に実現しているんです。

 ちなみに光学迷彩という日本語を作ったのは原作者の士郎正宗その人で、とある光学迷彩研究の教授は、『攻殻機動隊』の大ファンだということですから、なかなか面白い事実です。ハンドガンのグロッグは言わずもがな、この連載で何度も紹介しています。今やすっかり、“主人公の使う銃”になりつつありますね。少佐のグロッグは白く塗装され、近未来っぽい雰囲気を出しています。同じ公安9課のバトーは「グロッグ17」を使用しています。

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