【実写映画レビュー】画面は綺麗、でも遠い……ヒロインもイマイチ萌えない、行儀のいいゴシックホラー『クリムゾン・ピーク』

『ドラクエ』vs『FF』論争はキリがないので深掘りはしないが、おおむね理解の範囲である。だから急進的FFアンチは、こうとどめを刺す。「『FF』はグラフィックが綺麗なだけのゲームだ」と。

『クリムゾン・ピーク』を最も辛辣に形容するなら、急進的FFアンチの言い分とほぼ同じになる。
 確立されたジャンルムービーであるゴシックホラーのキモを押さえて、丁寧に、定規をあてて、行儀よく、壮大に組み立てた。けれど、「ちゃんと綺麗に作りましたけど、何か文句でも?」なドヤ顔が、どうにも目の前をちらついて離れない。それは『FF』の、「誰も追随できない芸術的スーパー精密グラフィックですけど、何か?」なドヤ顔の印象にも近い。『ファミ通』の第一報記事で読者にため息をつかせることに特化したビジュアル、とでも言おうか。

『クリムゾン・ピーク』が丁寧なしつらえなのは認める。ただ、上質な箱に収まりすぎている感がある。入学祝いに叔父からもらったものの、一度も使っていない万年筆の箱を一瞥したときのような。どこに顔向けしても恥ずかしくない「よそ行き仕様」に作り込まれすぎていて、体がそれになじめない。指一本触れられない。ギレルモ兄貴って、こんな行儀のいい人間だったっけ? 
『パシフィック・リム』の「ちょいダサ」メカが懐かしい。『ヘルボーイ』のブサイク主人公が愛おしい。『パンズ・ラビリンス』の倒錯的なイマジネーションよ、今はいずこ!

 ただ……正直に言おう。筆者が本作になぜここまで厳しいのかと言えば、ヒロイン、イーディス役のミア・ワシコウスカに期待しすぎたからである。彼女には、圧倒的な美少女ヒロイン感が少しばかり足りなかった。

 たしかにミアのコスプレは見応えがある。丸メガネ装着時の文芸少女系萌え度は高いし、コスチュームの着せ替え頻度も申し分ない。しかし、思えばミアは、ガンを患う少女を演じた『永遠の僕たち』(11年)の佇まいが、唯一にして最高すぎた(涼宮ハルヒを演じたときの平野綾が、唯一にして最高すぎたように)。

 今作のミアを観て、『永遠の僕たち』のミアの魅力は、髪形(少年のようなベリーショート)が8割を占めていたのだなと気づいた。女性は髪型で魅力が3割増しにも5割減にもなるのだ。すっかり忘れていた。かつて黒髪ロングだった平野が茶髪シャギーになった途端、ファンは何を感じたか。説明するのも野暮というものだが。

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