アニメ監督・りょーちも、今なお続くFlashへの誤解に困惑 「ちゃんと動いてるのをクライアントに理解させるのが難しい」【前編】

■Flashとの出会いはアニメ業界に入ってから 「Flash黄金時代」とは別軸の「Web系」

1118_ryotimobeck.jpgTVアニメ『BECK』公式サイトより。

『BECK』の話が舞い込んだのは、ひょんなことから所属したゲーム会社に入社後1年くらいのことだった。小林治監督から直々のオファー。制作のためにアニメ制作スタジオ・マッドハウスに通う日々。

りょーちも「手伝うところからそちらにシフトしました。監督の小林治さんはネットの友達が多くて、その中に自分と同世代のイラストレーターもいたことで紹介されました。自分のサイトにGIFでアップしてたのを見て『動画描けるじゃん』っていきなり原画で抜擢されたんですけど『人が描けません!』って(笑)。全くわからなくて四苦八苦で人に聞きまくりました。一緒に『BECK』で入ったのが東映アニメーションの林祐己さんなんですけど、彼もサイト持ってたので聞いてました。

ようやく描けるようになったくらいで『BECK』が終わって、他のマッドハウスの仕事とかも手伝ってたら、制作のネットワークで他からも声がかかってサテライトに移籍しました。ネットつながりから入ることができましたが、作業はうつのみや理さんや松本憲生さん、岸田隆宏さん、大久保宏さんなどにお世話になりました。

そうやってネットのつながりでアニメ業界に入りましたが、ちゃんとFlashを触り始めたのはアニメ業界に入ってからなんですよ。沓名健一さんが自身のサイトでFlash(バージョン6相当のMX)で作ってたんで自分も買ってみました。『BECK』の時は紙で描いてたんですが、『ノエイン もうひとりの君へ』では自分の担当したバトルシーンをFlash(バージョン8)でラフを作画してつなぐ線画撮影をやってました」

『BECK』が放送されたのは2004年。その頃、自分のサイトで習作としてキャラクターの動きや爆発などのエフェクトを作画してアップしていた人たちは、アニメ業界やアニメファンから「Web系」と呼ばれるようになっていた。沓名は「Web系」の筆頭として注目されていたのだが、「Flash黄金時代」の視点で見ていたなら、名前を初めて耳にする人が多いかもしれない。つまり同じFlashユーザーでありながら、当時は接点がなかったのだ。

 りょーちも監督と沓名は、その後もワコムが主催した「デジタルイラストフェスタ2010」における「デジタル作画の最前線」で登壇するなどで縁がある(このほか山下清吾とまじろも登壇)。

後編では、監督デビューからFlashでデジタル作画ワークを構築するまでの話をお伝えする。
(取材・文/真狩祐志)

■ちものとアニメーション
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