アニメ監督・りょーちも、今なお続くFlashへの誤解に困惑 「ちゃんと動いてるのをクライアントに理解させるのが難しい」【前編】

 元々「Flashアニメ」は「GIFアニメ」がgifファイルであるように、swfファイルに出力している作品を指していた。つまり「Flashアニメ」を制作することと、Flashでアニメを制作することとは、別物ということになる。この辺りには『キン肉マン』などで活躍してきたベテランアニメーター・A.e.Suckも触れている。A.e.Suckは1997年から、いち早くFlashでの制作に取り組んできた。当時から著書も出版しており、IT業界界隈でも馴染みの深いアニメーターだ。

 結果的に紙芝居的な作画・演出の代名詞となってしまっている「Flashアニメ」については、まず『秘密結社 鷹の爪』などのFROGMAN監督作品を思い浮かべると思うが、当のFROGMAN監督は既に否定している(記事参照:FROGMAN監督インタビュー)。FROGMAN監督は現在、その状況すらも逆手にとってメタ発言をしているのだが、それに気づいている人は果たしてどれだけいるだろうか?

 以下では誤解が生じた経緯を記す。Flashは96年に登場。ソフト本体やアニメ制作のみの話で済んでいた当初ならまだしも、年を追うごとにゲームやアプリの開発、サイトのインターフェースや動作環境などと汎用的になった。ひと口でFlashコンテンツといえども、それぞれが複雑に絡み合い、各人で認識が錯綜している。

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1118_ryotimo2013.jpg2013年Yahoo!検索ワードランキングより。

“紙芝居的な何か”の認識になってしまう契機は、「Flash黄金時代」などをキーワードとしたゼロ年代前半のネットの流行の観点からもヒントが見られる。2002年に配信された『銀河鉄道999』のような商用だけでなく、自主制作でも遜色のない作品は存在したが、即席で紙芝居的に時事ネタなどをパロディ化した作品が圧倒的な物量を誇っていた。

 またそれらを集積したサイトも人気を博した。Yahoo!検索ワードランキングにも如実に現れており、04年に「フラッシュ倉庫」が13位、「おもしろフラッシュ」が40位で、ともに初登場。翌05年は前者が34位、後者が48位と後退するものの、06年からは「おもしろフラッシュ(おもしろフラッシュ倉庫)」の合算で24位、そして07年は28位となっていた。このように検索ランキングに反映されているだけでも、十分に誤解の広まり具合が類推される(WikipediaのAdobe Flash内に残る項目「日本における普及」も、その背景を間接的に物語っている)。

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