アニメ監督・りょーちも、今なお続くFlashへの誤解に困惑 「ちゃんと動いてるのをクライアントに理解させるのが難しい」【前編】

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 2010年あたりを境として、徐々にデジタル作画の話を耳にする機会が増えてきた。ところが3DCGによるセルルックの話かと思いきや、2D手描きの話である。事情に疎い人でもデジタル全盛の世の中だけに「まだそこなの!?」と思うに違いない。

 当然ながらアニメ業界のデジタルへの取り組みは、最近になってのことではない。90年代後半に盛り上がりを見せたCGブームの最中で進んだのは主に彩色や撮影に関してだったが、今回は後手となっていた作画も本気で移行を進めなければという雰囲気になってきたようだ。デジタル作画の台頭は4Kディスプレーの解像度問題やベテランアニメーターの引退問題など、様々な要因に対する危機感の裏返しでもある。

 現在、制作ソフトとして動きが目立つのはフランスのTVPaint、カナダのToonBoom、日本のCLIP STUDIO PAINTと、さながら“三国志”の様相を呈している。そうした状況の下、Flashで「アナログからデジタルに変換する機構を作ってるんです」というりょーちも監督。デジタル作画のキーマンとしても出番の多い彼に話を伺った。

1118_ryotimo3.jpg写真:りょーちも監督。

■「Flashアニメ」と「フラッシュアニメ」は別物 Flashでのアニメ制作も別物

「『(スライドアニメじゃなく、作画枚数が多いから)ちゃんと動いてるでしょ』ってのをクライアントに理解させるのが難しいんです」。りょーちも監督がそう語るのは、自身が使用している制作ソフト・Flashについてである。

 Flashはアニメ業界以外での利用が圧倒的に多いのも手伝ってか、デジタル作画の観点で語られることが基本的にない。デジタル作画と意識されずに歴史を重ねているのもあるだろう。そのためインタビューに入る前に一旦この点に関して整理しておかねばならない。そもそもFlashについて解説すること自体が難しいからだ。

 ざっくり言うと、IT(ICT)業界界隈でいう「Flashアニメ」とアニメ業界界隈でいう「フラッシュアニメ」は別物である。後者の「フラッシュアニメ」は表記のブレも含め、“紙芝居的な何か”といった非常に曖昧かつ無意味な語句でしかない。作画枚数の本質を理解しているなら、わざわざ誤解を広める真似をしないと思うのだが、何とも残念な現状である。

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