テニミュは男たちの不器用な友情1000本ノック!?  ~男が観てみたテニミュ青春☆観戦記~【Part4】

 「何事!?」と向けられた銃口の先を見るが、筆者には人の多さで何が何だかよく分からない。どうやら客席に過去のキャスト(※役者のこと)かテニミュ関係者がいたようである(これはあくまで推測なので確かな情報ではない)。彼女たちは休憩中も場内で何か“香ばしい”気配を感じると、一斉にその方角に双眼鏡を向けたのだ。一分の油断もない。何という常時臨戦体勢、何という機動力。やはり一流の調査兵団だったのか、キミたちは。きっとその危機察知能力ならば、前線の偵察兵としても十分な能力を発揮するに違いない。今日も日本の平和は彼女たちによって守られています! その厳しい勤務態度にまた涙したのは言うまでもない。

 女性ファンたちのパワーに動揺していると、いよいよ第3幕の始まりを告げるブザーが鳴った。ついに最後の幕が上がったのだ。第3幕は、リョーマの父・越前南次郎(キャスト:森山栄治)が電車で決勝戦の会場へと向かうシーンからスタート。弁当販売の売り子(娘役)に扮したキャスト(男)との絡みで笑いが起きるが、これまでの公演での出来事を含めた複合的な笑いだったため、理解できず……。やはりすべてを楽しみ切るためには、何本もの練習試合が必要なのだと痛感するのだった。

 最終戦の始まりを告げるように、青学メンバーを中心に“マッチポイント”が高らかに歌われる。『お前とお前とお前とお前~』が耳に残るパワフルなダンスと歌だ。どれだけ「お前」がいるんだと思いつつも、「マッチポイント!」の叫びとともにビシビシとキマるダンスがカッコいい。最後の結末に向けて、キャストたちの気持ちの高揚感も伝わってきた。

 リョーマ以外のキャストで歌われた曲のパートが終わると、今度はリョーマが舞台に。記憶を失ったまま彷徨い、自分が誰なのか分からない悲哀に満ちた感情を歌う。リョーマ役の小越勇輝が醸し出す雰囲気は、実に儚げで美しさすら感じた。そして、記憶を失ったリョーマはどこか乙女なのだ。ここで場面転換。場所は、試合会場の裏にあると思われるグラウンドだ。

 リョーマの前に現れたライバルたちとは、不動峰中学校(以下、不動峰)・伊武深司(キャスト:岡崎和寛)、聖ルドルフ学院中学校(以下、聖ルドルフ)・不二裕太(キャスト:小西成弥)、山吹中学校(以下、山吹)・亜久津仁(キャスト:岸本卓也)、比嘉中学校(以下、比嘉)・田仁志慧(キャスト:友常勇気)、氷帝学園中等部(以下、氷帝)の跡部景吾(キャスト:小沼将太)と日吉若(キャスト:伊勢大貴)、そして立海・真田弦一郎(キャスト:小笠原健)。そう、他校のスター選手が勢揃いしていたのだった。

 こ、これは……ヤンキー漫画でよくあるシチュエーション。学校裏や廃工場を舞台にした復讐劇の始まり、リョーマの決勝戦出場を阻むためなのかと息をのむ。しかしその予想は、広い場内で筆者たった1人だけが思ったであろうとんでもない見当違いに過ぎなかった。青学・不二周助の弟でもある不二裕太を除いた全員が口は悪いものの、リョーマの記憶を呼び覚ますために現れたのである。記憶を失ったリョーマが立海の幸村精市と対戦できるレベルになるためには、これまで戦ってきたライバルたちとの死闘の記憶が必要だと集まってくれたのだ(自主的に)。これにはその場にいた青学の桃城武(キャスト:石渡真修)、海堂薫(キャスト:木村達成)、乾貞治(キャスト:稲垣成弥)も感激。なんてアツいヤツラなんだ! 口は悪いけど!

 ライバルたちは、すぐさまリョーマと問答無用の総当たり戦を開始。テニスの勘までは取り戻したリョーマだが、この時点ですでに桃城・海堂・乾の3人と1戦を交えたばかり。体力的に大丈夫なのか、しかも相手は生半可ではない強者というか怪物ばかり。何より、このあとに本番の決勝戦が控えている。すでにたっぷりノックを行った青学メンバーも入れると、本番前に計10人と戦うことになるのだ。この調整で99.9%の選手は再起不能になっておかしくないだろう。リョーマの記憶が戻らないなら体力温存しても意味はないが……まさに一か八かの賭けである。

 リョーマのことが気に食わないながらも何だかんだ協力しに来た伊武深司、純な少年っぽい不二裕太、登場キャラの中で一番廃工場が似合う不良系・亜久津仁と順々にバトルしていく。リョーマはライバルたちの強力なショットに戸惑いつつも、徐々に自身の必殺技を取り戻し、相手の技をその場で破っていく。て、天才……! 伊武と亜久津はリョーマがサクッと自分の技を返したことに悪態をつきながらも、最後の試合に向けた手荒い餞(はなむけ)から男気と優しさを感じ、キュンときた。ズバリ、筆者はギャップに弱い。

 誰のためにもならないゴミのような情報を提供したところで、次は「下剋上だ!」のセリフが耳に残るクールガイ・日吉若が登場。『下剋上だ』という日吉には、攻めのサディスト気質に見せかけて、常に下にいることに若干の快感を得ているように見えて逆に根深いマゾ性を感じる。これは強烈なキャラだ……。この頃には「下剋上っていうけどさぁ……?」とリョーマからも生意気な発言が飛び出すように。記憶戻ってきてるぞ、いいぞ、でも生意気ぶりまで戻らなくていいんじゃないか!? 助けにきた他校の先輩方をもう見下し始めてるぞ。ピュアボーイ小越王子をもうちょっと愛でてた方が良かったんじゃないか!? そんなことないか! 先に進もう!

 続いて、田仁志慧の巨体を活かした強力なジャンピング・サーブ「ビックバン」がリョーマに襲いかかる。サーブを受けたラケットごとはじき飛ばしてしまうほどの威力だ。田仁志役・友常勇気のジャンプが高い高い。広い舞台がやや狭く見えるほど動きもアクロバティック。本人は原作キャラよりかなりスリムで相当なイケメンなのだが着地にも重量感もあり、田仁志の迫力が出ていた。腹も魔法で巨漢っぽく膨らんでいるが、うん、でも、やはりスリムでイケメンすぎる。原作キャラとのギャップというか、本当はスリムなのにやや無理矢理巨漢キャラを演じる3次元イケメン田仁志に逆に萌え……ハッ! 「この領域は危うい!」と我に返り→「無我の境地」を開く→踏みとどまる。その瞬間、自我と無我の境を個人的に行き来した。今のは危うかった。

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