TVアニメ『池袋ウエストゲートパーク』クウの問題は解決?それでも釈然としない第5話

TVアニメ『池袋ウエストゲートパーク』公式サイトより

 面白くなくはないんだけどやっぱり、タイトルの持つインパクトには完全に負けているようにも感じてしまう。時事問題が絡んでいるのもあって興味深くはあるのだが……。

 今回は、10年ほど前に構想が持ち上がった「池袋チャイナタウン宣言」の報からスタートする。話題になっているこの話に、マコトの母はいい顔をしない。それというのも中国の面々は商店会にも加入せず、ゴミ捨ても適当などマナー違反も多く元からいる商店側と共存するには超えなければならないハードルが多すぎるからだ。

 そんな最中、マコトの元に「お願いしたいことがある」と現れたのはリン・ガオタイという中国人の男性だった。流暢な日本語を使うので、他の人は皆彼を日本人だと勘違いするらしいが、マコトは早々に気付いたらしい。彼は技能実習生のアドバイザーをしているらしく、中国から茨城の製法工場で働いていた技能実習生のクウという女性をマコトに探してもらいたいという。

 一週間後、彼女の働いていた製法工場に厚生労働省の査察が入り、その際にクウがいないと、同期の実習生250人が強制送還の目に合ってしまうという。たった一人いなくなるだけで、それだけ多くの人までが巻き添えを食ってしまうなど考えてもいなかったが、中国はなんでも全て桁が一つ違うのだそうだ。

 クウが消えた際に調査をしたところ、寮の近くのコンビニに「基本月収20万 東京勤務」という中国人に向けた張り紙があったそうだ。それを描いたのはドンロンという中国組織。池袋に根城があるらしい。そこでリンもここまでやってきたのだろう。

 技能実習生は3Kと呼ばれるキツイ仕事をやらされている、というのはマコトもなんとなく知っていたようだ。リンに尋ねると、彼はその労働環境の過酷さを語ってくれた。

 日本人はとてもではないが耐えられない仕事で、中国の都市部の人も耐えられないのではないか、とリンはいう。だが、農村部から日本に来る人達はそれでも来るしかないのだ。彼ら農村部の平均年収は数万円。そんな生活から抜け出すために日本語を勉強して日本を目指す人は多いという。黄金の国日本。そこに来れば300万は稼げ、それは貧しい地域では生涯年収にも値する額だという。

 クウがいた河南省は格差社会の象徴とも言われるほど貧困がひどく、国家が発展しても水と一緒で指の隙間から零れ落ちてしまう存在なのだという。

 マコト達がG-Boysの店で依頼の内容について話をしていると、そこに中国組織らしい連中が店側にみかじめ料を払えと迫り始める。彼らはどうやら噂のドンロンの者たちの様子。あまりにも横暴な態度にG-Boysの面々も声を荒げるが、リンがその間に立ちカンフーを使って撃退してしまう。そこにタカシが現れ今回の依頼の更に突っ込んだ内容を聞くことになる。

 池袋を仕切っている日高組からタカシに連絡があり、ドンロン組には日本のどこかの組織がついているという。今わかっているのは関西系の組織だということだけで、その組織が池袋進出を目指しているのだそうだ。

 中国人店主たちは踊らされているだけで、みかじめ料を出させることでドンロンは潤う仕組みを作り上げようとしているらしい。

 池袋は誰も拒まない自由の街だが、パワーバランスが壊れると争いが起こる。タカシはそれを危惧しているようだ。

 早速、なぜかマコトの元にドンロンからの使いがやってくる。折よくそこにリンもいたので、彼と共に車に乗せられどこかに連れていかれてしまう。そこで待っていたのはドンロンの長、ヤオフォンだった。

 リンはヤオフォンに向かって、クウを返してほしいと直談判を行う。だが、ひどい待遇の工場が多いとわかっている中に彼女を返すことはできないと突っぱねられてしまう。頼ってきたものを返すわけにはいかないのだそうだ。

 リンは自分も河南省の出であるとカミングアウトし、他の実習生のためにもと再度頭を下げるが、この願いを聞き入れてもらうことはできなかった。

 マコトはリンも河南省の出身だったことを隠されていたことを詰めるが、話したところで理解などしてもらえないという彼の言葉にはぐうの音も出なかった。彼らの話を聞いていたマコトの母はリンに対して同情の意をみせ彼らの力になってあげることを約束し、マコトにも積極的に彼を手助けするようにと伝える。

 なんだったら自分のことを日本のお母さんだと思って頼ってくれとまでいうが、リンには既に日本のお母さんと呼べる存在がいるそうだ。川崎の工場で苦労をしてた頃、彼の境遇に同情してくれた人が、彼を養子にしてくれtそうで、彼は現在法的には日本人なのだそうだ。

 査察が入るまで時間がなく、クウの手がかりも掴めずどうしたものかと頭を悩ませていたら、リンが何か手筈をしたようで、ヤオファンから電話がかかってきた。それはクウの居場所を知らせるもので、リンは中国本土に手をまわしたようだ。

 彼女は池袋のキャバクラ「チャイナガール」にいるという情報を得たマコトはさっそく店に出向きクウと対面を果たす。この説得はリンたっての希望で第三者であるマコトが行うことに意味があると強く言われたために一人で出向いたようだ。

 クウは弟から手紙をもらい、父親が腎臓病でかなり悪く手術をしないと死んでしまう状況らしい。そのためにも、工場勤めではなくキャバクラの仕事で金を稼いでいたのだそうだ。だが、マコトから自分が抜け出したせいで残っている250名が強制送還させられるかもしれないと聞き、ショックを受ける。父親のこともあるから強く戻れとは言えないが、それでも考えて答えを出してほしいと告げるマコトに彼女は決意を固めた。

 期限まで1日あったので、マコトの家に泊まり池袋観光をしたクウは、この豊かな国を堪能し、そこで生まれたマコトは幸せだ、と告げる。お父さんのことは辛いが、250名という仲間を強制送還させてしまったらその先にいるもっと多くの人が困ることになる、と決めたクウ。だが、マコトの家に戻ると話は意外な方向への解決に向かっていた。

 やたらと笑顔の母とリン。クウが決意を決めた姿を見た母は自身も何か大きな決断をしたらしい。それは何かと思ったら、それはクウをこの家の養子にすること。養子にすれば強制送還にもならず、工場労働もなくなる。それを教えてくれたのはまぎれもなくリンだ。 クウはこの母の言葉に感謝し、一生懸命働くことを誓った。
 
 突然戸籍上に異国の妹ができてしまったマコト。だが、そのおかげで救われたものあったのかもしれない。もちろん、工場勤務ではなくなっただけで金を稼ごうと思ったらもっと働かなければならないし、親へ送金もあろうだろう。クウの問題は解決したが、技能実習生の実態が何か変わったかと言われれば全くそうではないのだ。その辺りに多少釈然としないものを残しつつ終わってしまった。

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