■“ガチ”か“キャラ”か――あいまいな「ショタ」定義
めりぴょん 「ショタキャラ」はメン地下にも際限なくいると思うんですけど、中身はまた別問題なので。
ここまで話してきた中で、「ショタ」の定義も、例えばミミマルさんは「中2至高論」を唱える一方で、ひよこ大先生は「18歳でもショタ」って言ってたりして、それぞれのショタの定義に差異がありますよね。すると結局のところショタっていうのは個人の基準に左右される、相対的な概念なんですかね? 自分の価値観でショタの「軸」をどこに置くかでショタの定義が変わってくる。
ミミマル ショタコンひとりひとりがストライクゾーンを持っていてもらって全然良いと思うんですけど、純粋に自分は14歳前後の男の子が美しいと思います。身体の作りからして美しい。そこはやっぱり譲れないかな。
ひよこ 毛は許せますか?
ミミマル 推しにもよりますけど、基本許せないです。
サティ ショタコンによっても定義は違うし、見ていても「ショタ系アイドル」なのか「ガチショタ」なのかによっても全然違うじゃないですか。「ショタ」っていう言葉に含まれる意味が膨大になりすぎちゃってる。全部で細かく区切っていかないと、「ショタってこうだよね」とは言い切れない。
めりぴょん 私もそれはすごく思っています。冒頭でも言った「ショタ/美少年/男の娘」っていう分類が、二次元でもごちゃごちゃになりすぎていて、細分化する言葉が無いんですよね。皆が何となく「これとこれは違うよね」って思っていたとして、例えば「ショタ枠」と「ガチショタ」は違うよねって話になっても、それを分ける適切な言葉がない。あればいいんですけど。
サティ 分類でいえば、二次元だったらそれこそ「ショタジジイ」とかいるじゃないですか。
めりぴょん 「ロリババア」の変化型ですね。日本語のヤバい造語。でも適切なんですよね、便利だし。バーチャルYouTuberの話になっちゃうんですけど、2017年に爆発的に人気になった「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」の「のじゃロリ」って単語、パッと聞いてオタク素養があれば何となく「わかる」じゃないですか。造語なのに。不思議ですよね。
私が注目したいのは、「ショタキャラ」と、サティさんが仰るような「ガチショタ」、つまりショタ本質がどんどん乖離していってることなんです。観察者によるショタの概念の変質かなと。
サティ 気軽に使えるようになっちゃった分、意味が変わってきてるんじゃないですかね。髪を切って幼く見えるようになった男の子に対して「ショタじゃん」って言ったりしますし。
めりぴょん 見た目がバブいというか。「バブい」もまた定義が曖昧な語ですけど、幼い顔つきとか、赤ちゃんみたいっていう感じで使いますよね。例えば9bicの仮屋瀬さつきくんは「バブい」分類のような気がします。彼はショタか? って言われるとショタじゃないけど、ショタキャラ分類か? って言うとショタキャラのような気もする。すごく面白いですね。
サティ 話してて思いましたけど、あんまり最近は気軽に「ショタ」とは使わないかもしれません。ガチショタを示す時には「男の子」ってワードを使うようにしてるので。
めりぴょん ショタコン業界ではそうなっていってるんですね。日頃からショタに接していない人のほうがより気軽に「ショタ」という単語を使うのかもしれません。何か、結局その定義に対して厳密でない、意識的に使わない人が「ショタ」を使って裾野がむやみに広がっていってるのが現状かなと思います。
メン地下において「ショタキャラ」をやっている人たちってかなり意識してそれを作っているのかなと思っていて。というのも今のメン地下業界って自分で自分のキャラクターをプロデュースする世界になっていると思うんですね。ツイッターを見ていても。自分で自分のキャラを設定しないと生き残れない世界だから。
ミミマル 自分がグループの中でそういう役割を与えられていて、それを演じるべきなんだっていう自覚があるアイドルもいると思います。
めりぴょん 例えばX-BORDERの島貫勇士くん(ex.絶好超団☆LoVe)もかなり「バブい」分類だと思うんですが、接触したことのあるミミマルさん的にはいかがでしょうか。
ミミマル 彼はかわいいって言われると嬉しそうですね。
めりぴょん かわいいカテゴリですよね。「ショタ」と「かわいい系の男の子」もまたはっきり分類しないと、どんどん混ざっていっちゃいますよね。
ミミマル いわゆる「ジェンダーレス男子」っていうのがいっぱいいるじゃないですか。それが「女の子的なかわいさ」を目指しているのか、「ショタ的な/子供的なかわいさ」を目指しているのか、両方のタイプがいるのかもしれないんですけど。
サティ ショタ的なかわいさって目指すと難しいと思うんです。ガチショタって服装とか適当じゃないですか。
ミミマル 確かに(笑)。
めりぴょん 無頓着さこそがショタの特徴だと捉える人からすると、そうですよね。
ミミマル 「ショタキャラ」とか「ショタ枠」ってすごく記号的で狭いんですけど、ガチショタって幅広いので。部活やってるショタが好きな人もいるし、一方で大人しい図書委員みたいなショタが好きな人もいるし、日焼けしててやんちゃな感じがいいとか色白な感じがいいとか。ただ「ショタキャラ」って、日焼けしてて無邪気で……っていうのは難しくて。
めりぴょん その点、二次元のショタってそこまで記号と本質が乖離している感じはないですね。今回、ショタという単語が示すさまざまな可能性や意味について、予想以上に幅が広くて本当に勉強になりました。これからもショタの分類について考えていきたいと思います。
* * *
というわけで、昨今のアイドル業界におけるショタ事情について少し知ることができました。この先もおそらく私のショタコンは治らないため、これからのショタ事情にも注目していきたいと思います。もちろん三次元のショタには手を出さずに真面目に生きていきます。ロリコン、ショタコンの皆さん、真面目に生きましょう。
(文=めりぴょん/山野萌絵)
“ガチ”か“キャラ”か――「ショタ」の定義とは?「本物のショタはメン地下には向かない」【ショタコン座談会】後編のページです。おたぽるは、インタビュー、その他、連載、二次元、ジャニーズ、ショタ、EBiDAN、三次元、メンズ地下アイドル、めりぴょん/山野萌絵、めりぴょんの「外道はつらいよ」の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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