中国版コミケ「COMICUP24」参加記録 中国のオタクカルチャーが日本を超える日は近い?【その2】

――今年6月、中国・上海で行われた同人誌イベント「COMICUP24」。日本の同人イベントに慣れていても、異国の地となるとワケが違う。本稿では、「COMICUP」に興味がある人向けに、日本からの参加記録を綴っていく。

★「COMICUP」に関する記事
・中国最大級の同人誌即売会「COMICUP 魔都同人祭」に参加してみた! 参加のハードルは高い?【参加方法・事前準備編】
・中国版コミケ「COMICUP 魔都同人祭」日本人が参加するには数々の壁が立ちはだかる……【参加方法・会員登録編】
・日本とは全然違う! 中国版のコミケ「COMICUP 魔都同人祭」の独特なルール 同人誌はあくまで“展示しているだけ”


・中国版コミケ「COMICUP24」参加記録 中国語が行き交う茨城空港。オバサンとの対決も……【その1】

中国版コミケ「COMICUP24」参加記録  中国のオタクカルチャーが日本を超える日は近い?【その2】の画像1
上海会展中心

 2日目。幸いなことに、「COMICUP24」に参加する西田一さんとぱぃろさんの宿は近所だったので合流して会場へ向かうことに。自分のホテルは、面白さ満点だった。エレベーターに「デリヘルを呼ばないで」みたいな注意が書いてあるのに、近くお部屋からインチキくさいセーラー服を着た女性が出てきたのは、まだご愛敬。

 部屋の番号が308なのに、指示されたのは4階。どういうことかと4階にあがると、4階が1〜4まで区画分けされて、得体の知れないことに。でもまあ、窓がある部屋を予約したし……と部屋に入り、窓を開ける。窓の向こうは天井のある中庭。そう、部屋同士の間の空間に鉢植えを置いて「眺望あり」という理屈であった。それでも、しつこいくらいに警備員が巡回しているので、安心感はあったのである。

 近所のカルフールで、やっぱり開店前から行列している客を横目で見ながら待ち合わせ場所へ。そこからはタクシーで移動。ようやくたどり着いた「COMICUP24」の会場・上海会展中心はとにかく広くて立派だった。これまで東京ビッグサイトが東京五輪のせいで使用制限される問題を取材してきていた。その際に、展示会産業を営む企業から何度もいわれたのは「東京ビッグサイトは小さい」という話。改めて、東京五輪後に拡張されてもまだ狭いんだと実感する。

 しかし、広すぎて入口もよくわからない。なんとなく同じような匂いのする人たちの後をついていって、入口らしきところへ。魔公子さんや、ほかの日本人参加者と会ったりもしつつ、ようやく中へ。

 ここでもやっぱり荷物チェック。コミケで行われている手荷物確認は、本当に確認だが、ここのは本気。ちゃんとX線を通す機械に荷物通してから入場。上海では地下鉄に乗る時も必ず同様の検査があるためか、中国人は手慣れた感じで通り抜ける。そして、チケットを渡すと手にブラックライトを押され、ようやく入場だ。

 会場は広くて立派だった。でも、同人誌即売会のスペースの写真は、ほとんどない。なにしろ撮影そのものが禁止なのである。あちこちに、スタッフが撮影禁止という札を持って立っているくらいだから撮影禁止の本気度は高い。取材申請をすればどうにかなったかも知れないが。今回は入国にあたって、そんなビザは取得していない。もしものことを考えると、それもまた危険なことだ。

 ひとまず、西田さんと、ぱぃろさんのサークルにたどり着き店番を手伝う準備を。もともと、今回の旅の発端は、「の~すとらいく」の西田さんに「今度の中国でのイベント参加はいつですか?」と尋ねたのが発端だ。

 これまで、西田さんには幾度も取材をしている。『女装山脈』以来、男の娘だけをテーマにゲームをつくり続ける熱い人物。昨年、成都のイベントを訪れた際には、やはり大勢の男の娘を愛する中国人と出会ったという。日本では、ごく当たり前のようになってきた男の娘。ネットを見ると中国語でそれをさす「偽娘」という言葉を見つけることはできる。エッチなサイトを見ると、中国人らしい偽娘の動画も見つけることができる。その文化の片鱗を見てみたいと思ったのだ。

 そんな未知の人々がどんなものか見てみたいという期待。そのためだけに、上海へとやてきたのである。

 でも、西田さんの表情はちょっと暗かった。 「今日、出展することを宣伝しようと思ったんですけど日本から微博が書き込めなくなってたんですよ」 。イベントが開催されたのは6月の7・8日の両日。その少し前、6月4日はいくつかの日本のメディアが中国のニュースを報じていた。「六四天安門事件から三十年」という話題を。

 その影響なのか、日本から微博へのアクセスは遮断され、閲覧はできるけれども書き込むことができなくなっていたのである。出展者にとって、これは痛手である。日本でも同人誌即売会でサークル主が事前にTwitterなどを使って宣伝するのは当たり前。そうした自前のプロモーションを何度もやって、ようやく自分のところの作品を認識して貰える。それができていないのだから、どれくらい自分のサークルを訪れてくれる人がいるのか不安は大きかったのだ。

中国版コミケ「COMICUP24」参加記録 中国のオタクカルチャーが日本を超える日は近い?【その2】のページです。おたぽるは、イベント情報・レポアニメの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!