中国版コミケ「COMICUP24」参加記録 中国のオタクカルチャーが日本を超える日は近い?【その2】

 けれど、そんな不安を払底するようにファンはどんどんやってきた。すでにsteamでリリースしている作品のため、ひっきりなしにというわけではないが、やってくるのは熱いファンばかりだった。もっとも奇妙なのは、中核派のヘルメットを被ってやってきたファン。日本でも学生運動が活発だった時代のコスプレをする者はいる。最近は本物のほうもコミケに参加したのがニュースになった。

 いやいや、どういうことだろうと拙い英語で尋ねると、まだ学生の彼は「最近、友人と共に日本のあの時代に魅せられているんです……これは、友人が造りました」というのだ。帰国してから、この彼とWechatで話していると「最近『頭脳警察』というバンドを知った……彼らはとても熱いと思うんです」と言いだした。そんな分野にまで興味を持つ者がいるなんて、どれだけ文化が成熟しているのだろうと思った。

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 日本のアニメやマンガが世界で評価されている。そんなニュースが一般にも浸透するようになったのは2000年代の後半。以来、いまだ大勢の人が、まったくその通りなのだと信じている。実際、日本のマンガやアニメに憧れる人の多い国というのは今でもあるのだろう。けれども、すでに中国はそんな段階を超えているように思えた。

 同人誌ブースを見回すと日本発の作品は『東方Project』と『FGO』あとは『艦これ』がちらほらとある程度。企業ブースにも日本発の作品はいくつかあったが主流ではなかった。混雑しているのは日本でも人気のある『アズールレーン』や『ドールズフロントライン』といった作品。そして、まったく知らない作品群であった。むしろ、知らない作品のほうが多かった。

 このイベントの会場は大きく分けて3つに分かれている。同人誌のブースと、企業ブース、アパレル系のブースである。唯一、日本発の色が濃かったのはアパレル系のブース。ここには、日本のアパレル系の企業も多く出展していた。原宿系……と、ひとまとめにしていいのか、煌びやかなブースにはやはり煌びやかな女性たちが楽しそうに行列していた。その華やかで楽しそうな雰囲気から感じるのは、文字通り金の匂い。

 人口13億人を超えるこの国で、まだまだすべての人々が文化的な生活を送れているわけじゃない。でも、ここに来ているのは、まずマンガやアニメ、ファッションを楽しむ余裕のある人々。そう、その余裕が独特の楽しさを振りまいているように見えたのだ。

~続く~

(文/昼間たかし)

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