ビーイング、エイベックスが”荒らした”? タイアップがアニソンにもたらした功と罪

 CD販売の不況が叫ばれる中、アニソン・声優系アーティストが注目を集めている。アニソンは固定ファンも多く、堅調な売上を見込めるからだ。今回は、そんな“アニソンとタイアップの関係”を、関係者の言などと共に紐解いた記事をご紹介しよう。(「サイゾー」2013年8月号掲載)

【サイゾーpremiumより】

──アニメソング(アニソン)というと、水木一郎や声優らが歌うオタク向けの楽曲というイメージがある。しかし、その歴史を鑑みれば、アニソンはかつてより多くのアーティストのタイアップの場として機能し、そこから人気を博したアーティストも少なくない。すなわちアニソンの歴史とは、タイアップソングの歴史であるともいえるのだ。その50年の変遷をつまびらかにしていく。

1311_anisonp.jpg『THE BEST OF DETECTIVE CONAN ~名探偵コナン テーマ曲集~』(画像左)は、160万枚以上を売り上げ、アニメ系コンピレーション・アルバムとして『およげ!たいやきくん』を抜いて歴代1位となった。内容はビーイングの中堅歌手が勢揃いしている。『鋼の錬金術師 COMPLETE BEST』(画像右)は、アニメのコンピレーション・アルバムとして、オリコン史上初めて週間ランキング1位を獲得。こちらはソニー系アーティスト揃い。

 今年、2013年は、63年の日本初の国産テレビアニメ『鉄腕アトム』の放送開始からちょうど50年に当たる。そして、その歴史は同時に「アニメソングの歴史」でもある。”アニソン”というと、かつて『マジンガーZ』の水木一郎や『宇宙戦艦ヤマト』のささきいさおが歌っていたような、「アニメのタイトル」や「必殺技」を連呼する楽曲、出演声優がキャラクターの声で歌うキャラクターソングを指すことが多い。一方で、現在放送中のアニメを見ると、『銀の匙』のスキマスイッチや『名探偵コナン』のB’zといったアーティストやバンドが、露出の増加を目的に作品の主題歌を担当する「タイアップ」として歌っていることもままある。こうしたタイアップ曲に対しては、「アニメと関係ない歌手が歌っている」などの理由で、毛嫌いするアニメファンも少なくない。

 だが、歴史をひもとけば、アニソンはタイアップと共に発展してきたジャンルであることがわかるのだ。本稿ではテレビアニメ、劇場用アニメの主題歌となった曲を「アニソン」と定義し、”アニソンとタイアップ”という50年にわたる蜜月関係を、駆け足ながら明らかにしていく。

『鉄腕アトム』に始まる最初期のアニソンは、少年合唱団や男性ボーカルグループを起用した”子どものための唱歌”であり、タイアップという考えはほぼなかった。

 60年代後半から70年代初頭に入ると、もともと童謡部門が強かった日本コロムビアが本格的にアニソンのレコードビジネスを開始。『紅三四郎』でデビューした堀江美都子、今やアニソン界の重鎮とされる水木一郎ら、当時活躍していたアニソン歌手の多くが日本コロムビアに所属しており、「アニソンといえば日本コロムビア」という時代であった。

 一方、当時のアニソンは子ども向けの低ランクの仕事で、売れない俳優や歌手が糊口をしのぐために歌うモノという意識が強かった。アニソン業界関係者も「当時、アニソンを自分のコンサートで歌うことを嫌がる歌手も少なくなかったと聞きます」と語る。前出の水木一郎も、歌謡歌手としてヒットに恵まれない中でアニソンデビューを果たしている。

 そんな中、恐らくテレビアニメ史上初めて、アニソンが「新人アーティストのプロモーション」として活用されるという事件が起きる。デビュー直後のかぐや姫が、須藤リカとのユニットで『海のトリトン』(72年)のオープニングテーマを担当したところ、アニメ映像の制作の遅れを受け、オープニングの一部にアーティストたち本人の映像が差し込まれることとなったのだ。結果、本作はアーティスト自体のプロモーションに寄与した初めてのアニソンになったといえるだろう。

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