NHKアニメ『ヴィンランド・サガ』神とは? すべてを蹂躙する圧倒的な暴力がいたいけな少女の信仰を覆す

TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト

 NHKで放送され、さらにはAmazonプライム・ビデオにて世界配信も決定している『ヴィンランド・サガ』の第14話がオンエアされた。

14話 暁光
進路を変更し、過酷な風雪の中マーシア伯領を横断してデンマーク軍本隊がいるゲインズバラへの帰還を目指していたアシェラッド兵団。
慣れない吹雪の中、小さな村に目をつけた一行は、行動を起こす…

 前回、アシェラッドの思惑などが明らかになり、その意志の強さからグッと魅力が増した。しかし、今回は彼の残虐性に大きくスポットを当てたようなエピソードだった。

 神とは。作中に出てくる神父も酒を煽り、神に失望し現実を見ていないように映る。この時代、神を信じたくても厳しい現実が襲う日々が続いていた。それでもそれぞれが神に一縷の望みを託し、慎ましい生活を送っていた。

 冒頭、とある村の娘アンが「なぜ、いつまでも私たちを忘れ果てしなく見捨てておかれるのですか?」と問いかける。

 言いつけを守らないと、天使でさえも罰せられると信じられている圧倒的存在、神。キリスト教徒として信仰をもってはいるが、どこか少し疑いの気持ちももっているアン。彼女は神にも家族にも秘密にしていることがあり、そのことでも胸を痛めていた。

 そんな彼女が住まう村にアシェラッド兵団が近づき、簒奪を企てる。雪の中を王子を連れて進むため、アシェラッド兵団の面々からいつも以上に不満が沸き上がる。それを解消するするたとしての強奪。この時代では当たり前に繰り返されたことだとしても、本当にやり切れない。

 しかも今回は、この虐殺される村の中でアンの家族に焦点があたる。家庭の暖かな日常が丁寧に描かれた後で虐殺。胸が痛むのも仕方がない。彼らは大家族で貧しい生活を送るも、お互いを愛し合い、神を信じ、丁寧な暮らしを送っていた。

 こんな幸せが満ち溢れた家庭の中で、アンは家族に言えない秘密があった。それは、市場で見つけた指輪を魔が差して盗ってしまったことだった。悪いことをしたら、神様に罰せられると、家族から日々言われていたアンは自分がしたことの罪深さと、指輪の美しさの間で苦悶していた。

 アシェラッド兵団が村に襲い来るその日の夕飯、アンはまた指輪を隠した場所へと足を運んでいた。家族にはトイレにいくと嘘をつきその輪から外れたその一時に、村は襲われ住民は一か所に集められた。食料の備蓄を奪われた彼らは、せめて半分だけ残してもらえれば、冬は越せると懇願するが、アシェラッドはそんな彼らに「冬越しの心配はしなくてもいい」と無残にも告げる。

 そう、もう彼らは冬越しの不安におびえることもない。隠れるアンの目の前で、村人が惨殺される。アンはその凄惨な現場を目撃し、今までに感じたことのない気持ちを味わうことになる。

 小さな指輪をひとう盗ったことで思い悩んでいたアン。彼女など足元にも及ばないような悪行を行う人々を目の当たりにして彼女は「ドキドキ」したのだという。

 神とは? まっとうに生きてきたアンの目の前で、全く別の価値観をたたきつけたアシェラッド兵団。神の言葉を信じて生きてきた村人たちが無残に殺されるならば、信仰の意味とは?

 何とも後味の悪い気持ちでいっぱいになる今回のエピソード。アシェラッドの残忍さ、この時代の無慈悲な現実がリアルに映し出されていた。
(文=三澤凛)

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