■「特撮好きな謎のバンドマンがいることで、特撮好きが増えれば、と」
タカハシ 庵野監督とかオーケンさんのお話に戻りますけど、自分が音楽を始めた当初は、自分が特撮好きであるということを殊更言わなくてもいいだろうと思っていたんですよ。音楽をやっていればいいと思っていたんです。
でも出口さんも、オーケンさんが『ウルトラマン』が好きだと言っていなかったら、戻ってきていない可能性があるじゃないですか。俺も庵野監督が『A』を好きだと言っていなかったら、特撮に戻らず、すごく楽しいことを一つ失っていたかもしれない――そう考えたときに、数万人、数億人のうちの1人かもしれないけど、誰かがもう一回『ゴジラ』や『ウルトラマン』を好きになってくれる可能性があるのなら、俺も言っておいたほうがいいかなって。バンドを始めたときは、格好いいことだと思っていなかったんですよ。特撮が格好悪いというわけではなくて、ミュージシャンが音楽以外のことをやることが。
出口 最初は躊躇するよね。
タカハシ そうなんですよ! でも、誰かが戻ってくれるかもしれないと考えると……オーケンさんとかの存在はやっぱり大きいですよね。
出口 音楽だったり特撮って誰かの人生を不意に変えてしまう可能性があると思うんだよ。たとえば、我々のライブに、友だちに連れてこられた音楽に興味がない子が、ライブを見て「バンドってかっけー!」と思ってくれて、音楽に目覚める可能性だってあるわけだし。
タカハシ そうそう、そういった可能性を増やせればと思ったんですよ。こういう特撮好きな謎のバンドマンがいることで、特撮好きが増える、誰かの人生を変える可能性がある。そういう思いでやっているんですけどね(笑)。
出口 いやぁ~変えていると思うよ、あんな長いブログを書いているんだから(笑)。
タカハシ 特定の誰かに向けて書いているのではないんですよ、なんと言うか特撮という道を用意できればいいなというか……
出口 敢えていえば、かつての自分みたいな人だよね。なんと言うか……『ゴジラ』は60年以上、『ウルトラマン』は50周年。親子どころか3世代にわたって楽しんでいる人もいる中で、我々みたいな30代という世代は、いろいろ変わっていく境目にいる世代だと思うんだよね。いろんなものがどんどん変わっていったり、一方で古いと思われていたのが再評価されたり、谷の時期を越え、盛り返しつつあって――だから我々も何かを作れるんじゃないかと思っていて。
『平成ウルトラマン』と一言でいうけど、96年に『ウルトラマンティガ』が始まるまでの数年間って、今考えるとすぐだったのに当時は長く感じなかった?
タカハシ 長かったですねぇ。『ティガ』の情報が出る寸前まで、『ウルトラマン』は終わってしまったんだと思っていましたもの。で、『ウルトラマンG(グレート)』(90年。日豪合作のOVAで、95年に放送)とかで復権をかけたけど、うまくいかなかったんだろうなと。俺は大好きでしたけど。
出口 『ウルトラマンゼアス』(96~97年に公開された映画シリーズ)なんていう作品もあったよね。
タカハシ 『ゼアス』もですね、当時の俺は亜流だと思っていました。それは『グレート』や『ウルトラマンパワード』(93年。日米合作のOVAで、95年に放送)も同じで、毎週TVでウルトラマンをやるようなことは、もう俺らが生きている間はないかもという寂しさがありましたよね。
90年代、俺たちは飢えていた……!? オワリカラ・タカハシヒョウリ×モノブライト・出口博之『ウルトラマン』まみれの特撮対談!<前編>のページです。おたぽるは、特撮、その他、出口博之、円谷プロ、シン・ゴジラ、モノブライト、モノブライト出口博之の特撮自由帳、ウルトラマン・ザ・ロックス、オワリカラ、タカハシヒョウリの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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