90年代、俺たちは飢えていた……!?　 オワリカラ・タカハシヒョウリ×モノブライト・出口博之『ウルトラマン』まみれの特撮対談！＜前編＞

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■「大人でも『ウルトラマン』が好きでもいいんだ！」

出口　特撮好きになった理由として『ウルトラマン』が根っこにあって、それはやっぱ怪獣のほうにも興味は向いたものなの？

タカハシ　行きましたね、それは『ウルトラマン』もそうですけど、『ゴジラVSシリーズ』が大きくて。

出口　90年代初頭ぐらい？（※『ゴジラVSシリーズ』は89年の『ゴジラVSビオランテ』から95年の『VSデストロイア』まで合計7作が制作された）

『ゴジラVSデストロイア [60周年記念版]』ジャケット

タカハシ　　そうですね、ただ『VSビオランテ』だけは経験していなくて、『VSキングギドラ』（91年）からなんです。『VSキングギドラ』って子ども向けで楽しいじゃないですか、エンタメ性も高くて。それにあの当時ならではの、『ターミネーター』感、SFっぽいところもあって。『VSキングギドラ』（91年）、『VSモスラ』（92年）、『VSメガゴジラ』（93年）、『VSスペースゴジラ』（94年）あたりが一番盛り上がっていて、当時はもうひたらすら『ゴジラ』のことばっかり考えていましたね。

出口　もう最高の並びだよね。にしても、やっぱりそのことしか考えてなかったんだ？

タカハシ　俺結構そうなんですよね、いくつか好きなもののうちに『ゴジラ』があるんじゃなく、マジで『ゴジラ』のことしか考えていなかったという。だから結構燃え尽きちゃうときもあって……だから『VSデストロイア』で一回ゴジラが死んだじゃないですか。あそこで俺もう燃え尽きちゃって。

出口　ああ、俺の中の『ゴジラ』はもう死んだと。

タカハシ　そう！　それからしばらくは『ゴジラ』や『ウルトラマン』から距離が離れたんですよ。でも『エヴァンゲリオン』が始まって――その時ももう一年間『エヴァ』のことしか考えない時期があったんですけど、それで庵野監督が『ウルトラマンA』が好きだと知って。『エヴァ』放送時、自分は小学校高学年ぐらいだったんですけど、その時すでに『ウルトラマン』は、昔は大好きだったけど、やっぱり子どもが見るものとマセたガキとしては思っていたんですよね。

　ところが庵野監督が「クイック・ジャパン」（太田出版）に、すごいきれいなスペシウム光線のポーズを取って掲載されていたんですよ。それを読んで、大人でも『ウルトラマン』が好きでもいいんだ！　と思って、そこから一気に戻ってきたんです。。

出口　俺も似ていて、好きになって一度離れて、大人の影響で戻ってくるというのが一緒なの。俺の場合はオーケン（大槻ケンヂ）さんがずっと「ブースカブースカ、マタンゴ！　」って言っていて。

タカハシ　しかもそれが格好いいと。

出口　そうそう。“好き”という気持ちって強いんだなって。それで戻ってくるようになって、『快獣ブースカ』（66年）や『怪奇大作戦』（68年）を観なきゃとなって――一旦離れて戻ってきたときって、反動が強くない？

タカハシ　ああ、強かったです、相当ディープになりますよね。でも一回も離れなかった人ってすごいな、本物のエリートだなとも思うんですよ。

出口　離れていた時期はやっぱ音楽にいっていたの？　　

タカハシ　やっぱその辺の時期に好きになりました。サイケデリックとか60年代70年代とかの音楽が好きになって、そういう音楽をやりたいなと思っていたときに、『ゴジラ対ヘドラ』（71年）を久しぶりに観たんですよ。そこで「かえせ！ 太陽を」という曲を耳にして、「これ、俺がやりたい音楽じゃん！」って。サイケ要素も、歌謡曲要素も、そして60、70年代の雰囲気もあって、しかも踊れるという曲で。だから『ゴジラ対ヘドラ』も、特撮に戻る大きなキッカケになった作品ですね。

出口　『ゴジラ対ヘドラ』も、あれがターニングポイントになったという人が多い作品だよね。

タカハシ　一番好きという人も多いですものね、俺もめっちゃ好きで。でも当時はサントラがどこで買えるとか知らないから、ビデオをMTR（マルチトラックレコーダー）につないで音を録って、当時はMDに落として通学中にずっと聞いたりしていました。ビデオから落としているから、セリフとかもほとんど覚えるぐらい（笑）

 
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