ミリオタライター・二木知宏の「武器で見る映画」第7回

西部開拓時代に思いを馳せる! 同じ名前の銃の数奇な運命『マグニフィセント・セブン』

 他にも、登場した印象的な銃を紹介しましょう。主人公の仲間の一人、イーサン・ホーク演じるグッドナイト・ロビショーが使うライフル、「ウインチェスターライフル M1873」です。このロビショーという人物がなかなかおもしろいキャラクターなんですが、南北戦争英雄では、23人の狙撃に成功した南軍の英雄で“死の天使”の異名を持つほどの人物。そんなすごい人が使う銃もやっぱりすごかった。アメリカのウインチェスター社のライフル、「M1873」です。先ほど紹介したピースメーカーも米軍では「M1873」でした。同じ名称です。

 しかし、ウインチェスターのMはモデルのMです。つまりM1873とは、1873年モデルって意味ですね。一方のピースメーカーのMはアメリカ陸軍正式採用を意味するMなんです。だから、ピースメーカーのM1873は1873年の米陸軍正式採用拳銃ってことになるんです。ややこしい。

 この偶然はすごく不思議で、この2種類の銃は相棒同士と呼ばれていて、弾が併用できるんです。そんなウインチェスターM1873にも二つ名があります。その名も“西部を征服した銃”です。

 機構はレバーアクションと呼ばれるもので、今やほとんど見られなくなった機構です。レバーアクションとは、トリガーガードと呼ばれる引き金や指を守る周りの部品をがレバーになり、それ前後にひねって、実包を銃本体に装填する仕組みです。レバーを前に押すと薬莢を排して、レバーをに引き戻すと次弾を装填する。

 なぜ、この機構が廃れていってしまったのか? これにはいくつか理由があるとされています。機構が複雑だから強度が下がる、使える弾丸が少ない、次弾の装填の際にレバーを引いているんじゃ、いちいち構えを解く必要があるとか……。技術の発展や、訓練でどうにでもなりそうですが、もっと単純な機構で、扱いやすいボルトアクション方式に取って代わられたわけです。

 そして、もう一つ、映画の中で“悪魔の銃”と叫ばれたガトリング砲です。これもかなり有名でしょう。1861年にリチャード・ガトリングによって開発された、多銃身機関銃です。つまり、ピースメーカーやウインチェスターライフルよりも早く開発されていたんです。アメリカ国内での南北戦争で驚異的な戦果を上げ、日本にもたった3門だけ輸入されていたそうです。甲鉄艦、アームストロング砲と並び、幕末三大兵器と呼ばれ、手にしたものに勝利をもたらしてしまう兵器でした。2門も所有・配備していた長岡藩は負けてしまいましたけどね。

 ピースメーカーやウインチェスタライフルがカウボーイやならず者、さらには護身用に一般人が使っていた武器であるのに対し、このガトリング砲は完全に軍用兵器です。本体が27kgもあるので、個人携帯できるわけもなく、車輪などをつけて大砲のように動かしていました。数え方は前出の通り1門、2門と、大砲と一緒です。漫画や映画でもよく出てきます。登場の仕方もだいたい決まっています。例えば、映画『ラストサムライ』では、侍が刀を片手に馬で突っ込んできたのを、明治政府軍が秘密兵器だ! とばかりに引っ張り出して、掃射し、侍たちを皆殺しにしました。果たして、今作、『マグニフィセント・セブン』ではどんな登場をして、どのように活躍するのか!? 気になる方は是非とも映画館へ。

『マグニフィセント・セブン』では、紹介した3つの武器の他にもいくつか銃が登場します。どれも西部開拓時代に実際に存在した銃の数々です。こんなものを持ち歩き、ぶっ放していた時代があったんだ! とフロンティア精神あふれる時代に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。いや〜、武器ってホントにいいもんですね〜。
(文=二木知宏[スクラップロゴス])

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