「みなさんには僕が作る物語と同時に、僕自身の物語も楽しんで頂けたらと思っています!」 『CAT SHIT ONE』『風雲維新ダイショーグン』の笹原和也、20年の遍歴

1603_sasahara2.jpg思いを馳せる笹原監督

■力を抜いて作ったものの方がウケる? 90年代から現在までの20年で思うこと

 現在も手描きに迫ろうとするセルルックや「不気味の谷」を超えんとするフォトリアルへの探求が続いているが、そのほとんどが企業ベースである。個人で得られるチャンスが圧倒的に多かった90年代と今とでは、すっかり様変わりした。

笹原「90年代の熱狂は、稚拙だからだったような気がします。見る目が甘かったのが良かったんじゃないでしょうか。昔は髪や服装を揺れるようにはしてませんでしたからね。物理シミュレーションのエンジンがなかったわけじゃないんですけど、面倒くさいからやらなかった。だから、揺れなくてもいいデザインにしてましたし、CGはそういうものだ! という時代でした。

 余談ですが、当時の髪の毛の表現、2000年代は透明度マップにテクスチャーを貼った板ポリゴンを短冊状にしてましたけど、どうしてもポリゴンの形が見えてたんですよね。それはもう、どのCGプロダクションもそうしてました。08年ぐらいから、ポリゴンを筒状にする発明がありましたね。長い円錐状にしたらポリゴンの形が気にならなくなって、非常にリアルになりました。そんな単純なことでリアルになるんだ、すげえなって思いましたね。

 今なぜCGが流行らなくなったかというと、求められるクオリティーが上がりすぎて、作るのが難しくなったからだと思います。短いものなら個人レベルでも企業に優る作品を作ることもできますが、商品となりうるボリュームのものでは難しいですよね。僕は昔からそれは感じていて会社を大きくしようと思っていたのですが、今はそんな状況からは離れて一匹狼的な活動になっちゃってるのは、皮肉なものですね。

 それに今では3DCGは子供のものだと感じます。ピクサーに代表される子供が見てもたのしいもの。ああいうものを作るのが正道だと思います。子供向けではないものを作ろうとすると、真面目にやればやるほど、リアルに作れば作るほど、大人が離れていく感じがしています。一生懸命作ったものよりも、力を抜いて作ったものの方がウケるような、そんな感触を持っています」

Cat Shit One VOL.1 (Web comics)

Cat Shit One VOL.1 (Web comics)

原作コミックの作者は小林源文閣下

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