「みなさんには僕が作る物語と同時に、僕自身の物語も楽しんで頂けたらと思っています!」 『CAT SHIT ONE』『風雲維新ダイショーグン』の笹原和也、20年の遍歴

1603_sasabara4.jpg『CAT SHIT ONE -THE ANIMATED SERIES-』(2010年)公式サイトより

■商号変更からオリジナル企画へ 『CAT SHIT ONE』『風雲維新ダイショーグン』

 2003年、笹原組からアニマに商号を変更。『ドラッグオンドラグーン』などのゲームムービーを受注していた時期である。

笹原「『ドラッグオンドラグーン』が久々のメジャーな仕事で節目になり、良い仕事が来るようになったキッカケになりました。商号を変えたのは、他にもディレクターをやってくれる人がほしかったからです。笹原組のままだと入ってくれなさそうなんで。個人商店みたいな感じじゃなくて他にも色んな人が入って欲しかったのと、あと恥ずかしかったのもあります(笑)。

 それと代表がプロジェクトを抱えてると、自分のプロジェクトをえこひいきしてしまうじゃないですか。それで代表も降りました。それにしても経営やるのはシンドかったですね。お金の心配を常にしているのはしんどかったです。当時の税理士さんが『消費税のこと忘れてた』なんて計算を間違うこともありましたし。『勘弁してよ』と思いました!」

 このほかゲームムービーでは『ベルセルク 千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章』『ヘビーメタルサンダー』『プロジェクトシルフィード』などを請けていた。新たな試みとしては、アニメーションのオリジナル企画を始めた。


オリジナル企画トレーラー@東京国際アニメフェア2008

笹原「アニマで05年か06年からオリジナルをやろうって動きになってて、社内で企画を募集してたんですよね。公平性を期するために外部審査員を招いたりして。僕も出してたんですけど引っかからなくて、自分にオリジナルを作る力がなくなってるのがわかりました。何をやったらいいのかサッパリわからない事態に陥ってたんです。受注の仕事で、基本ストーリーが決まっているもの対して、キャラクターデザインやストーリーを考える経験は積んでいても、ゼロからストーリーを考えることができなくなってて、『こういうストーリーです』って1行決めるだけでも難しいなと思ってました。

 それで原作モノをやろうと思ったのが『CAT SHIT ONE -THE ANIMATED SERIES-』です。人間をやるとコストかかるから動物モノをやろうと思いました。動物モノをやるにしてもほのぼのした物語は嫌だったんですが、『CAT SHIT ONE』は戦争してますから。そこが良かったです。『CAT SHIT ONE』の存在は前から知ってたんですが、「CGアニメーションにしたらおもしろいんじゃないか」なんてことは、この時までまったく気づかなかったですね。

 それとCGをリアルに作ることに対してどんな意味があるのかと自問自答してた時期でもありました。CGのリアルな表現が見る人にとって楽しいのかという疑問。画面のリアルさは自己満足なんではないかと。しかし、『CAT SHIT ONE』を作ってみてリアルであることが魅力になることもあるんだと気付きました。制作の工程で出来る『形状や動きは完成品だけれども、質感がついてない状態の動画』を見ても充分に面白かったんですけど、それが完成してリアルな質感が追加されて、面白いだけじゃない『驚き』があることに気づいたんです。『面白いものには驚きがある』、そして『人に受け入れられるオリジナル作品を作るには、驚きが必要である!』と気づくキッカケにもなりました。

『CAT SHIT ONE』と同時期に、笹原監督は別の企画も動かしていた。昨年放送のテレビシリーズ『風雲維新ダイショーグン』(旧:『艶華王道ダイショーグン』)である。笹原監督は、本作では原案の担当となった。

Cat Shit One VOL.1 (Web comics)

Cat Shit One VOL.1 (Web comics)

原作コミックの作者は小林源文閣下

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