井口昇監督がアイドルプロデュース! “監獄学園”に匹敵する変態ワールド『キネマ純情』に見た巨匠のDNA

kinema-junjo02高校生のアカリ(荒川実里)は一本の自主映画に出演することで、 人生が大きく変わることに。

 ストーリーを簡単に紹介しておくと、女子部員しかいない弱小高校演劇部のメンバーが、女子大生が撮る自主映画に出演することになり、与えられた役を演じることで自分たちの心の奥に隠されていた意外な感情に気づくというもの。カメラの前でウソの世界を演じることで、女の子たちは心を裸にして、キスを交わし合うようになる。フィクションの世界だからこそ、自分にも他人にも正直になれるという、倒錯していながらもイノセントさを極めた物語なのだ。

kinema-junjo03「魂を全裸にして!」「毛穴から汁出して!」と 女子大生監督のナオミ(中村朝佳)はキャストに無茶ぶりをする。

 表現者として脂の乗った時期にある井口監督がクラウドファンディングで資金を調達し、撮影期間4日半で苦心して撮り上げた『キネマ純情』を観ていると、80年代に黄金時代を迎えたアイドル映画の名作の数々が頭の中に甦る。『キネマ純情』の自主映画の監督・ナオミ(中村朝佳)は、女子高生のアカリ(荒川実里)たちを撮影現場で徹底的に追い込む。監督であるナオミのサディスティックな演出を、アカリたちはマゾヒスティックに強烈な愛情として受け止める。現場では様々な葛藤を生じながらも、カメラはかれんな白百合の花が咲き開く瞬間を映し出す。相米慎二監督がデビュー間もない薬師丸ひろ子を徹底的に追い込んだ『翔んだカップル』(80)と『セーラー服と機関銃』(81)を彷彿せずにはいられない。また、純真な女の子の今しかない魅力を映像の中に永遠に記録しようという井口監督の過剰な情熱は、『HOUSE ハウス』(77)や『時をかける少女』(83)といった傑作ファンタジーを撮った大林宣彦監督の芸術か変態かのスレスレの感性を現代に受け継ぐものだろう。

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 大好きだからこそ、その輝きをカメラでギリギリまで追いかけたい。本人も気づいていないような魅力的な素顔を映像に残しておきたい。井口昇監督の自主映画『キネマ純情』は、ピュアすぎるほどピュアな正統派アイドル映画に他ならない。
(文=長野辰次)

『キネマ純情』
監督・脚本/井口昇 出演/中村朝佳、洪潤梨、荒川実里、上野すみれ、柳杏奈、大部彩夏、山本愛莉ほか 企画・製作・配給/ワンダーヘッド 
3月12日(土)より渋谷アップリンクほか全国順次ロードショー
(c)2016ワンダーヘッド
http://kinema-junjo.com

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井口監督の、乙女な空気感大好きです

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