テニミュの醍醐味はダブルスと腹筋と調査兵団!? ~男が観てみたテニミュ青春☆観戦記~【Part2】

 ここから切原が本格的に青学ペアを追い詰めていく。「赤目モード」「デビル化」と凶悪化する能力を持つ切原を演じる原嶋元久は、迫真の演技で狂気の悪魔と化す。赤いライトに照らされながら、乾ばかりを狙った凶悪なショットを連発。なす術なく、血まみれになり(…のように見える)コートに倒れ込む乾。駆け寄る海堂。それを見た立海・四天(何で四天も!?)メンバーはあろうことか、「それを見ている立海レギュラ~」「哀れな構図だぜ~」とトンデモナイ歌を歌い始める。おい! 青学がヒドく惨めになるどころか、何だかコッチまで落ち込むぞ! 歌詞がいちいち突き刺さってくる。何だ、「それを見ている立海レギュラー」って! 状況説明か! 「哀れな構図だぜ」ってホントいろんな意味で酷いぞお前たち! 絶対後で口ずさみそうだ! おい、いい加減責任者を呼べ! とにかく三ツ矢雄二を早急に招集しろ! どこにいても構わん! 『タッチ』の上杉達矢!? それ野球だろ! 今関係ない! これテニスだから! いいから作詞について南に叱ってもらえ! すぐにだ、ナウだ!

 絶望的で屈辱的な歌の挿入に狼狽える場内。こんな想いをしたら、筆者なら立ち直れない。『新世紀エヴァンゲリオン』の伊吹マヤに「活動限界です! これ以上はパイロットが危険です!」って絶叫報告されるよね。しかし、ツンツン・バンダナペアのアツい友情を超えた“何か”は伊達じゃなかった。倒れた先輩を心配する男気に溢れた海堂は、気の遠くなっていく乾に必死に呼びかけながら「オレにないものを~先輩は~持っている~」と耳を疑う歌を歌い出す。すると、瀕死のはずの乾も不死鳥のように蘇り「オレに無いものを~お前は~(←乾パート)先輩は~(←海堂パート)持っている~」とデュエットし始めたのだ。

なななな、何事!

 一体どこのBがLしたんだ!? 「シンクロ率が400%を超えています!」って心のマヤが絶叫したよね。「哀れな構図だな~」に勝るとも劣らない凄まじい歌詞。コートの上の2人が織りなす歌の美しいハモり……いや、ホモり。できたてぇ~ホッカホカのおいしいホモだよ~焼きたてだよ~、そうか、秋といえばそろそろ焼きホモが恋しくなる季節だっけか……おい! まだ三ツ矢雄二は見つからんのか! 早く探し出せ! とりあえず跡部様のヘリは今こそ飛ばせ! ナウだ!

 客席の女性たちは食い入るように舞台を観ている。微動だにしない。凄まじい(アツい信頼関係の皮をかぶったホモへの)集中力だ。1人狼狽えている筆者がバカみたいだ。どちらかというと惣流の方のアスカになじられたい気分だ。ここから怒りと愛の力を得た海堂が覚醒し、青学の逆襲が始まる。大きく曲がるショット「トルネードスネイク」に加えて、同じフォームから放たれる速いストレート「レーザービーム」を発動させる海堂。閃光のようなエフェクトとともに起死回生のショットが立海コートに突き刺さる。海堂、カ、カッコいい! 発動するまで曲がるのか高速ストレートなのか見分けのつかない2つの技を使い分け、一種の無敵モードになった海堂は一気に立海ペアを追い込んでいく。

 「レーザービーム」でブッ飛ばされ、アクロバティックにバク転して倒れ込む切原。カ、カッコいい! 赤いライトに照らされ、四つん這いのまま切原は呻くように悔しさを吐き出し、鬼気迫る表情で絶叫する。勝負に賭ける想いと熱量が役者魂とともに伝わってきた。海堂の覚醒で青学がこのまま逆転勝利かと思われたその時、切原が執念で立ち上がり、海堂でなく弱った乾をあっという間にボールでボコボコにして完全KO。倒れる乾。劇的な結末を迎え、青学の2連敗が決まった。ここでもう一度確認しよう、これは中学生テニスの全国大会決勝である。

 立海メンバーは“勝利は当然の帰結”と涼しい顔で「常勝立海!」と高らかに歌い上げ、第1幕が終了。優勝への絶対的な自信を覗かせる王者の風格を見せつけた。ひたすら“立海が勝っちゃう、お前ら絶対負ける”的な直線的すぎる三ツ矢雄二の歌詞は、王者の品位にも十分だ。

 ここで休憩を挟む。1幕で何というアツさ、何というヴォリューム。あと何幕あるんだ…。すでに処理できる情報量のキャパを超えていた。そして、このレポを読んでいる読者はもういないだろう。アリーナ前方通路側という結構イイ席で、テニスボールくらいの脳みそが静かに煙を上げ始めた。「サンマかな?」「秋の味覚先取りかな?」なんて煙を見上げながら1人放心状態で動けずにいると、休憩に入った途端、大勢の女性客たちが次々と立ち上がり、どこかへと猛ダッシュしていく。

何事!? 戦争か!?

 一体どこへ!? とビックリして目で追ったが、あ、トイレとか何かとかトイレとかかと気が付き、下を向いて錦織圭選手のAir-Kの大きさについて考えることにした。“0.1秒も無駄にしたくない”といった立海・真田ばりの鋼鉄の表情で戦地(または、お花畑)へと赴く彼女たちの姿から、「遊びじゃねーんだよ!」感がヒシヒシと伝わってくる。邪魔にならないよう小さく丸まって過ごした。

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