初音ミクを生んだ革命的技術を徹底解剖!ミクミクダンス、音声、作曲…

【Business Journalより】

 こんにちは。江端智一です。

 台詞が聞き取れない高速のアップビートを、見事なリズム感とダンスを伴いながら完璧に歌い切る、天才パフォーマー(歌手)。サイリュウムを振り回して、「愛しているよー」と絶叫する、興奮した聴衆……

 コンサートとは、非日常を体現するリビドー放出の場であり、それは単なるCDやDVDの鑑賞では得られない、生きた(ライブ)の「場」の共有にこそ、その価値があります。しかし私は、そのコンサートの会場の映像をYouTubeで見ながら、人生最大級の驚愕と恐怖の中にありました。

 そのパフォーマーとは、比喩でも例えでもなく、まぎれもない「コンピュータプログラムのアウトプット」そのものだったからです。聴衆を熱狂させている、その天才パフォーマーは16歳の少女ーーの姿で、透過型スクリーンに投影される、3Dポリゴンのコンピュータグラフィックスだったからです。

 それが「初音ミク」と私の、最初の出会いでした。

 私は、初音ミクについて、かなりの時間をかけて、書籍やインターネットで調べ始めました。そして、いつもの通り「今回もまた面倒くさいものに手を出してしまったなあ……」という後悔の気持でいっぱいです。初音ミクは単なる技術でもなければ、一過性のブームでもない。パラダイムシフトという言葉でも足りず、あえていうのであれば、「コンピュータと人間のインターフェース革命」と表現してもよいのかと思っています。

 そもそも、コンピュータというのは、基本的に人間の能力を越えるものではありません。手書きとワープロソフトの差も、ソロバンと計算表ソフトの差も、絵の具とプレゼンテーションソフトの差も、所詮は人間よりもアウトプットが「早い」「安い」「大量」という定量的な差異でしかないのです。

 しかし今や、コンピュータのアウトプットそのものが、人間を感動させる時代に突入したのです。これは、まさにコンピュータ側から人間側への、コンテンツの逆流といってもよいかと思います。まさに「インターフェース革命」といっても過言ではないでしょう。

 このような、壮大なテーマを書くのは、正直、憂鬱です。

 私は、エンジニアですので、「技術」を解説することはできますが、「文化」を解説する経験もスキルもありません。そして「文化」は、取り扱いが面倒な上、その解釈が人間の数だけ存在するからです。

「こりゃ、書き方によっては、カルトなファンに殺されるかもしれんな」と、私はテロの襲撃までも覚悟しています……

 前置きが長くなりましたが、今回は2回に分けて、「ボーカロイドと初音ミク」について書かせていただきたいと思います。前編では、「ボーカロイド」初音ミクの定義とそれを実現する技術を、後編では「ボーカロイド」の「How to make(つくり方)」などを、関係者へのインタビュー内容と併せて、ご説明させていただきます。

●「ボーカロイド」の定義とは?

 さて、本稿で使用する用語の定義をしておきたいと思いますが、これが結構大変です。

まず、「ボーカロイド」とは、私が調べた限り、現在、以下の3つの意味で使われているようです。

(1)歌唱をつくるソフトウェア名(歌声をつくり出すことができる、ヤマハ株式会社が開発したパソコンソフトの名称)
(2)そのソフトウェアを使って創作された歌
(3)上記(2)の歌を歌うキャラクター

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