TVアニメ『魔女の旅々』二つの対立に魔女が介入し…?第7話

TVアニメ『魔女の旅々』公式サイトより

 今回は久々に前後編構成。どちらも二つの対立に魔女が介入する話。一本目はほぼ、イレイナの出番はないのだが、彼女に縁の深い魔女たちが時間差でとある国にたどりつき変化をもたらしていく。

 小さなころからの愛読書「ニケの冒険譚」 その中でも特にイレイナのお気に入りだった「旅人が刻む壁」のストーリーについて語られる。ニケがたどり着いたその国には、左側と右側でとても仲が悪いらしく一つの壁を築きあげ互いに関わりあわないように取り決めがされていた。だが、その壁があまりにも味気ないからどうしたらいいだろう、とニケは片方の国の役人に相談を持ち掛けられてしまう。

 それならば、とニケはその役人からナイフを借り、その場で壁に「壁のこの国のこちら側はとても素晴らしい 旅の魔女より」という文言を掘ってしまう。

 この壁が左右を阻む象徴でありながら、すばらしさをも象徴するものでもある、それならば旅人に文字を刻んでもらえばいい提案する。

 さらにニケは「そういえば壁の向こうでは既に多くの旅人が訪れたあとがあった」と言い残し、壁の向こうでも同じ話をした。そのおかげでこの国では訪れた旅人たちが壁に文字を刻むという風習が出来上がったという。

 イレイナはこの話を読んで、母に「結局どっちが勝ったの?」と尋ねるが、母はいつか自分の目で見てごらん、というだけだった。イレイナもいつか、自分の目で真相を確かめるのだと期待に胸を膨らませていたのだった。

 だがイレイナより先にこの国に訪れたのは、イレイナに心酔している魔女、サヤだった。魔法統括協会の仕事としてこの国に訪れ、役人からの依頼に応えようとしていたのだが、役人からの依頼は、「この壁をどうにかしてもらいたい」というもの。

 旅人が文字を刻み始めて十数年。ブームも下火になってきたことから何か新しいアイディアはないだろうかと助言を求めてきた。

 サヤはこのままでも素敵だと思うが、それでも変えたいというのなら……。と役人にナイフをかりて「イレイナさん大好き」と彫りまくる。もちろんそんな行為はすぐさま止められてしまう。

 それならば、と彼女が提案した案は、今までと同様に文字を掘るというもの。だがそれは旅人限定ではなく、この町に暮らす人々がこの国のすばらしさを刻むというもの。名前だったりこの国への希望だったり。この壁を作ったのがこの国に住む人ならば、この壁はその人たちのために使うのがいいのでは? という提案に、役人も納得。サヤはそのまま壁の向こうにも同じ話をしたようだ。かくして、この国の壁に、住人たちも言葉を刻むようになった。

 それからしばらくして、とうとうイレイナがこの国にたどり着く。本を読んで訪れるのを楽しみにしていた国。壁の勝敗はどちらに軍配があがったのか、とワクワクしておりたってみたら、壁は崩壊していた。

 さらには壁の残骸は観光地の土産物として売られている始末。なぜそうなったのか、理解が追い付かないイレイナに、役人が近づいてくる。彼は、イレイナを壁に言葉を刻んだ最初の魔女と勘違いしたようで挨拶にきたのだが、別の魔女だと胸の大きさで判断したらしい。かなり失礼である。

 イレイナもイライラしながらも何故壁がなくなったかの理由を聞いてみることに。サヤの助言で国の人たちも壁に文字を自由に刻み始めたが、毎日目にするものに思うままに書いたことを後悔する人も多く、そういった人たちが自分の書いた言葉を消そうと壁を削り始めたのだ。

 すると、壁はどこからともなく崩れ始め、壁のあちらとこちらで阻まれていた人たちが対面することに。

 対面してみると、お互いに憎しみあっていた思いもどうでもよくなっていた。さらには、お互いがお互いを超えようと切磋琢磨していたことで国が発展していたこと、何から何まで壁を隔てていただけで全く同じだったことがわかり、さらに左右の街は一つの国としてまとまりをみせていったのだという。

 壁を見ることは出来なかったが、せっかく来た、という事もありイレイナは壁のかけらを購入していくことに。彼女が購入したっ壁には「イレイ」という文字が書かれていた。サヤの重すぎる愛が間接的に届いてしまうとは……。おそるべし。

 二本目のお話も、イレイナ不在でスタートする。それは小さな町。そこではぶどう投げ祭りという祭りが毎年開催されるらしい。孫がどうしてこのお祭りが始まったのか、という質問から回想に入り、そこにイレイナが登場する。かなり前のエピソードのようだ。

 この村が「あっちの村」「こっちの村」という二つの村に別れていた頃、お互いにいがみ合っていたそうだ。収穫の時期、一人の魔女イレイナがやってきたことが事の発端だという。この村では葡萄酒がとても有名だそうで、イレイナも葡萄酒を始めて飲むなら一番いいものがいい、とこの村に立ち寄ったのだそうだ。

 こっち村の村長も、自分の村で作った葡萄酒こそ神が作りし美味なる酒、と大得意だが彼がずっと手に持っているボトルはあっち村が作ったものだという。

 なぜ商売敵であるあっち村のボトルを後生大事に持っているのかと聞くと、答えはそのボトルにあるらしい。ボトルにはあっち村一番の美人であるローズマリーちゃんが武道ふみをしている美しい姿がプリントされている。このプリントラベルのおかげで、あっち村は葡萄酒の売り上げがかなり伸びたらしい。なんでも、原産地の部分もローズマリーちゃんにしたという。

 原産地と書いた方が購買意欲をあげる、というのは男性にしかわからないフェチズムなのだそうだ。

 とにかく可愛い女の子がふみふみした葡萄酒は売れる! という確信をもった村長は自分たちのボトルにも可愛い女の子がふみふみしているラベルを張りたい、とイレイナにモデルをやってほしいと懇願する。

 うんともすんとも言う前に、こっち村の男衆に押し切られる形で村の民族衣装を着せられてしまう。イレイナの着替えに士気が高まる男性陣と、蚊帳の外にされたことでテンションの下がる村の女性陣。

 するとそこに、あっち村からローズマリーちゃんがやってくる。イレイナが衣装を着てぶどうをふみふみする、と聞いて彼女の体型が貧弱であることなどをあげつらい、自分たちの方が優れていると自慢しまくって去っていった。

 このローズマリーちゃんの言い分が尺に触ったイレイナはがぜん闘志を燃やし、のりきではなかったぶどうふみふみを自らやると宣言し、怒りの形相で大量のぶどうをふみふみしてやった。

 だが、かなりクッタクタになっても、出来上がる葡萄酒はたった樽半分程度と聞いて、ローズマリーちゃんがいかに毎日大量のぶどうをふみふみしているのか、と尊敬の念を抱きかけた。だが、よくよく考えたらそんなはずはないと気付く。ローズマリーちゃんがラベルになって何千本近く売れているのである、間に合うはずがない。

 村長と共にこっそりあっち村の葡萄酒作りを盗み見ると、ぶどうは屈強な男たちがふみふみをして作っていることをつきとめた。 

 この行為は産地偽造の立派な重罪だと糾弾するイレイナ。だが、ローズマリーちゃんは飲めば一緒、と開き直ってしまう。

 段々この言い争いはこっちの村とあっちの村間で言い争いが激化し、手に持っていたぶどうを投げつけ合う事態に。さらに、イレイナは出来上がった葡萄酒をぐびぐびと飲みだし、酔っ払っていってしまう。そして酔っ払って気を大きくしてなぜか魔法でぶどうを散弾銃のように皆にぶつけまわしたのだった。

 翌朝、皆気が付いた時にはイレイナの姿はなく、そのころからこの国では収穫時期になるとぶどう投げをすることが習わしになっていったのだった。

 結局村長はそのあとローズマリーちゃんといい仲になったようで、イレイナの怒りのぶどうふみふみもその年のボトルになっていた。酔っ払っただけだったようだが、イレイナの知らない間にも、物語は生み出されていたようだ。

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