TVアニメ『魔女の旅々』鬱展開が止まらない第4話

TVアニメ『魔女の旅々』公式サイトより

 入り口と出口で中々にエピソードの印象が違うというか、ほのぼのとした印象を与えておいて見終わるころにはうっすら寒気を覚える結末をぶん投げてくるこの作品。だけどしっかりと見せられてしまうのは何故なのだろうか。

 旅を続けるイレイナが雪の舞う中たどり着いたのは、滅んだ国。戦争でもあったのか、煙があがり、人が誰もいない。このまま別の国を目指してもたどり着くのは真夜中になってしまう、ということで被害が少なそうなところを探して休もうと考えたイレイナが見つけた場所は、この国の城。そこだけは無傷で残っていた。

 扉は固く閉ざされていたが、誰もいないし返事もない。背に腹は代えられない、と魔法で扉を燃やして中に入るとこの国の王族と思われる肖像画が彼女を出迎える。その絵を見ていると、まさにその絵に描かれていた一人がイレイナに声をかけてくる。

 まさか人がいるとは思わなかったが、城にいた人に食事を出してもらいひとごこちつくことができたイレイナ。一体助けてくれたこの女性は誰なのか? 名前はミラロゼというらしいが、彼女は自分がなぜここにいるのかも、なぜ国が滅んでいるのかも知らず、目が覚めたらこうなっていたという。どうやら記憶喪失の状態らしい。それではなぜ、彼女は自分の名前を知っていたのか。それは彼女にあてられた手紙を読んだからだという。

 イレイナもその手紙を読んでみると、そこには日が落ちるとこの国を滅ぼすために暴れるドラゴン・ジャバリエによって国が壊滅したこと、ジャバリエがミラロゼの記憶を奪った元凶であること。ミラロゼが王女であることなどが書き記されていた。さらにこのジャバリエはこの国を亡ぼすまで活動を止めることはなく、ミラロゼがこの国から逃げ出したとしても必ず追いかけてくるというのだ。ただし、この城には結界が張ってあり、ここがジャバリエに壊されることはないという。

 さらにミラロゼは魔法使いであり、彼女にこのジャバリエの討伐をしてもらいたいと記載されていた。

 ミラロゼは目がさめてから一週間過ごし、徐々に魔法について思い出してきたことから、明日あのジャバリエを倒す作戦を実行しようとしているらしい。イレイナにもそれとなく手伝ってほしいと訴えるが、彼女はそこに手を貸すことが自分にとってプラスにならない、と断ってしまう。

 その晩、ミラロゼから部屋をあてがわれぐっすりと眠ったイレイナ。翌日起きると、ミラロゼ自らがパンを焼き、朝ごはんを作りもてなしてくれる。 この作品、ごはんが本当に美味しそう。深夜アニメの飯テロは大罪である。一宿一飯の恩義、ということで戦いには参加しないが、そのための準備を手伝うことをイレイナは快諾。さっそくこき使われることに。大きな穴を掘って、ここにジャバリエを落とすらしいが、果たしてうまくいくのだろうか。

 かなりの重労働になったお手伝いもうまくいき、巨大な落とし穴はミラロゼの魔法で隠された。いよいよ、火が落ちてジャバリエが姿を現すころだ。

 イレイナはなんだかんだ言って、このミラロゼを心配し、無事に彼女が勝つことを祈っていた。手は貸さないとは言っていたものの無理しない範囲でミラロゼがピンチに陥ったら手をかそうとこっそりと落とし穴の近くにスタンバイしていた。

 ミラロゼはそのことは知らず、ジャバリエを落とし穴まで誘導を始める。彼女を追って猛進してくるジャバリエの攻撃をかわし、時には攻撃を交えながら進んでいく。ここからのバトル描写がかなり力が入っていた。まだ4話ではあるが、他の作品が作画崩壊がチラホラみうけられるようになってきた中でこのクオリティはすごいとしか言いようがない。

 とうとう落とし穴まで誘導し、落とすことに成功。だがジャバリエは炎を吐いたりと攻撃の手はやまない。ミラロゼも上に上がろうとするジャバリエに対して容赦なく魔法をしかけていく。その勢いがものすごく、何かあったら手助けしてやろうくらいに思っていたイレイナも言葉を失ってしまう。

 どんどんジャバリエがダメージをためていき、虫の息になっていく。その光景を見ていたミラロゼは突如過去の記憶を思い出す。すると、色々なことが腑に落ちたのか、さらにとどめを刺すための魔法を繰り出していく。

 ジャバリエの首を落とす際に彼女が言った言葉は「さようなら、お父様」だった。そう、このジャバリエの正体はこの国の王だったのだ。 

 ミラロゼは過去、身分違いの恋に落ちた。お城の料理にを愛した彼女は彼の子供を身ごもり、そのことを父である国王に告げた。すると国王は「処刑する」と答え、料理人をひどい拷問にかけて火あぶりにしてしまった。そして彼女のお腹にやどった命も殺されてしまった。

 ミラロゼは自分自身と、そして国王に呪いをかけた。自分には手紙を用意し、記憶を消した。そして王には、王としての記憶があるままにジャバリエに変える呪いを。王にとって国民は我が子のような存在。それを王としての記憶を持ちながら、日が落ちると一人残らず殺戮してしまうからだに変えたのだ。

 自分の子供を殺されることがどれほど辛いか、父に十分すぎるほど思い知らせ、そして自らの手で殺す。なんという恐ろしい復讐……。

 イレイナはその話を受け、何も言うことができずそのままこの国を去った。イレイナが去った後も、ミラロゼは国民も家族も誰もいなくなった城で自分だけに見える愛しい旦那と子供の幻影と共に暮らし続けている。

 前回に続き、またしてもダークな終わり方。ほのぼのしてたの1話と2話だけだなぁ……。このダークさがよくもあるが、本当は怖いグリム童話のような後味だ。画がきれいなのもまた、このダークさを引き立てている。次回はどんな国で、どんな結末を迎えるのか、楽しみなような怖いような……。

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