TVアニメ『波よ聞いてくれ』ラジオはまだまだ死んでない!第12話

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TVアニメ『波よ聞いてくれ』公式サイトより

 今回が一番「らしい」内容だった。これぞラジオ。

 北海道の人気ラジオ番組のゲストに、常連リスナー「ジョーカー・スコンスキー」が登場することに。パーソナリティもリスナーも女子高生ではないかと期待していたが、なんとその招待はマキエだった。彼女もラジオリスナーだったのか。さらにはがき職人だったのかという衝撃。

 今夜はミナレの「波よ聞いてくれ」も生放送でのオンエアだ。これからのレギュラーコーナーをリスナーから募集し、それを紹介しながら最終的に決定するという内容らしく、スタッフたちが送られてきた中からネタを厳選し最終打ち合わせを行っていた。久蓮木もまもなくラジオを去ることになり、ミナレの番組で構成作家をするのも最後になるらしい。だが本番中はブースにいてくれないという、相変わらずの塩対応。

 兎にも角にもいつものごとく行き当たりばったりになりそうな予感満載に番組はスタート。リスナーからのメールもかなりデンジャラスなものが多いものを読み進めていくと、スタジオに異変が起こる。
 
 スタジオに異変、ではなく北海道全域に起きた異変。大地震だ。地響き、地割れを起こすほどの地震が北海道全土を襲う。最大深度は6。かなり大きい。生放送中のミナレは地震に慌てるが、麻藤から緊急災害時に読むべき台本を手渡され、それを繰り返し読むように指示される。その間に瑞穂たちスタッフはNHKやネットなどから災害情報を拾い出し、メモでミナレに読むように指示する。
 
 災害により停電が起き、テレビがつけられなくなった時に頼りになるのはラジオだ。麻藤をはじめ、この藻岩山ラジオも「災害時は電波を止めるな」をモットーに、しゃべり続けるのだ。まだ素人に毛の生えた程度の実績しかないミナレでも、この緊急時に自分がマイク前にいることの意味を理解したのだろう。

 最初は「私なんかがいるべきではない」と思っていたが、自らTwitterあてに届いたメッセージを読み上げ、時には地震についての情報を読み上げたりと、真夜中の大地震の中心細い思いをしている道民たちに声を届け続けた。

 勢いとつい笑ってしまうミナレのトークに耳を傾けていた道民は多かったようだ。各地で停電が起こり、頼れるものがラジオとネットだけになると、声の力は偉大だと感じる。コロナ禍である今も、ラジオを聞く人は増えたという。生の声の力は強い。

 冒頭でラジオ出演を果たしたマキエもその興奮のあと、公園で祝杯を挙げていた。深夜になっても戻ってこないことを心配した中原が迎えにきたところで地震にあってしまう。中原とマキエは停電になったことなどからボヤージュの在庫を使って炊き出しを行うことを思いつく。店長やマキエの兄も加わり、オールキャラ感が強くなってくるが、地震などの災害によって、みんなが自分にできることをやろうと動き出すさまは見ていてジンと来てしまう。

 それぞれが必死に、今の自分にできることをこなし夜が明ける。ミナレに変わってベテランのまどかが5時の時報と共にMCを変わる。停電になり、不安に思いつつも星がきれいだったことを伝え坂本九の「見上げてごらん、夜の星を」をかける演出と、北海道全土でそこに住まう人たちがラジオを聞いて空を見上げる演出がとても良い。

 ミナレはこのアクシデントを経て、ラジオの持つ力を改めて実感。まだまだ深夜の修一レギュラーをもつだけの身ではあるが、ラジオの楽しさや魅力を知りこれからもっとプロとしてやっていきたいという威力が沸いてきた。だが、結局夜が明けたらカレー屋で炊き出しの準備もしないと生活がしていけない。まだまだ結局いつものミナレではあるが、確実にその心持は変わったように見えた。

 登場キャラクターが本当に存在しているように感じられる、体温の高い作品は名作だと思う。またいつか、今後の彼らがどんな人生を過ごしているのか、定期的に放送してもらいたい。
(文=三澤凛)

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