TVアニメ『波よ聞いてくれ』クズ男と分かっていても、ついつい騙されてしまうものなのか？第9話

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　「波よ聞いてくれ」の全ての元凶である光雄から、突如メールが届く。恨みつらみが増幅し、瑞穂からPCを借りて猟銃の購入方法を調べようとしたり、麻藤からテープレコーダーを借りてラジオの力を借りて社会的に抹殺を企てたりと、会ったら確実になにか事件が起こりそうな予感をかもしだすミナレ。だが当の本人へのメールの返事にはそんな素振りはおくびにも出さずに会うことを了承する文面を送信する。

　再会の日には彼が好きだといっていた薄目のピンクのリップとは真逆の真っ赤なリップを塗るという小さな反抗をして待ち合わせ場所に。お金を持ち逃げというそこそこな仕打ちをしておいて久々の待ち合わせだというのに以前から全く変わった様子も悪びれた様子も全くなく現れる光雄。「ミナちゃん」と当たりまえに呼び肩を抱いてくるこの男にどんな悪態をついてやろうかと気を張っていたミナレも毒気を抜かれてしまう。

　二人は藻岩山ロープウェイで山を登り、そこで彼は本題に切り込む。今回ミナレに会おうといってきたのは、意外にも借りていた金を返すためだった。ただし、返金されたのは半額の25万円のみ。年内には残りも返す予定だが今現在は手持ちがこれしかないとのことだ。

　今までクズの極みのようだった光雄が半額といえども金を返してきたことで動揺していたミナレ。突然どうして返す気になったのかを問いただすと、ミナレのラジオでの発言が彼の命を救うことに一役買っていたことを知る。

　光雄の話しだす内容がことごとくミナレのツボに入るのか、どんどん女の顔になっていってしまう。さらに付き合っていた分気ごころもしれていて会話のテンポも合うからこそなんとなく居心地の良さを感じてしまう。

　結局この藻岩山のあと、昼から酒をしこたま飲み、映画を見て、ボーリングや観覧車などかなりデートを満喫してしまっていた。所々に光雄の変わらないゲスさを見抜きつつもこのいやすさに流され、結局最終的には光雄の家に行ってしまう。

　勝手知ったる光雄宅では、付き合っていたころのようにミナレが珈琲をいれ、いつものようにくつろぐ流れに。もうこれより戻すのか？　昨日まで殺すっていっていたミナレと同一人物なのかどうか疑わしくなってくるぐらいに、かいがいしい彼女そのもののような姿に動揺を隠せない視聴者一同。

　だが、改めてビールで乾杯をしたときに「仲直りを祝って」と光雄が口にしたところから若干雲行きが怪しくなってくる。やはりどれだけ楽しく一日を過ごしても、まだ残りの25万を払ってもらうまでは心の門を閉ざすことを告げると、光雄はそれについてひたすらに平謝り。
　なんでも友達の連帯保証人になってしまっていたためにお金が必要だったというのだ。そういうことなら先に言えばよかったのに…‥と一瞬その話を信じそうになったミナレだったが、彼女はゴミ箱からあるものを発見してしまう。

　だがミナレの様子が変化したことに気付かない光雄はいつもそうしていたのだろう。ミナレの膝に寝ころび甘えてくる。膝枕をしたら耳かきをするのが習慣だったようだ。だが寝ころんだ男は無防備なものだ。　まるでキスでもしそうな雰囲気で光雄もそうなると思っていたようだが、そうは問屋が卸さない。
　
　光雄の部屋のゴミ袋にあった料理専門のフリーペーパーが捨てられていたことから、この家に直近で女が通ってきていたことを読み取ったミナレ。さらにそこに付着していたピーマンの種から、光雄の好物を作っていただろうことから、その女がミナレと同じような手口で金を取られたことまで読み解き、さらにその金を競馬で溶かしたり危ないルートで金を増やしてミナレに返済していることなどを聞きだし、怒りのあまり膝枕の状態から光雄を投げ飛ばす技をかける。

　ニコニコと笑い、いつも絶妙に女心をくすぐる言葉を吐き女を食い物にしてきた光雄。また性懲りもなくそんな彼にほだされそうになったが、直前で踏みとどまったミナレは残りの25万を手切れ金にしてやる、と言い捨てて部屋を後にするのだった。

　最初はミナレのチョロさが心配だったけれども、所々の毒の吐き方とラストの技を決める部分はさすがミナレという感じ。それにしてもこういうクズ男って本当にいるし、わかっていてもついついその手口に乗せられてしまうものなんだな……。
（文=三澤凛）