TVアニメ『かくしごと』最終回にておきて破りの設定が盛り込まれるも感動の結末に!?第12話

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TVアニメ『かくしごと』公式サイトより

 最初はギャグのテンションについていけないなぁと思っていたけれども、現代パートの不穏さと相まって気になって視聴し続けていたらどんどん引き込まれてしまった。最終回は予想通り、涙なしでは見られなかった。

 中目黒のと全く同じ間取りの鎌倉の家で、父の隠しごとを知った姫。そんな姫のもとに突如、見知らぬ少年が現れた。最終回にして新キャラ?! さらに姫を「姉さん」と呼ぶことからお父さんの隠し子なのかと勘繰るがそれも違うという。

 彼は、可久士の妹の子供。つまり従弟にあたるわけだ。しかも彼はつい最近何代目かを襲名したことでニュースになっていた歌舞伎役者。そう、可久士は梨園の家の妾の子、隠し子だったのだ。さらに、姫の母親の父、つまり姫のおじいちゃんは有名な日本画家。姫は芸術家の血を引いているのだった。その血が開花し、姫も絵のコンクールで賞をとるなど才能が見え隠れしている。
 
 姫は自分が父の子ではないかもしれない、という不安を多少抱えていたようなので、ちゃんと父の子であったことを喜び、突然現れた従弟にもそんなに動じた様子は見られなかった。姫にこの家のカギを送ったのも従弟くんの母親らしく、可久士から「自分の身に何かあったら中のものなどを売り払って姫の生活の足しにしてもらいたい」と託されていたようだ。

 やはり可久士の身に何かあったことが示唆される。時同じくして、アイドルを目指していたはずの千田瑠奈が登場する。彼女は何かを調べて回っているようで、可久士が事故にあったときに一緒にいた人に直撃をする。今は週刊誌の記者になったらしい。可久士の事件を追い、真実を明らかにしたいと考えているようだ。

 事件に居合わせた人は語る。事故が起こったのは可久士のせいではないと。彼は、巻き込まれただけなのだ。可久士は漫画家を辞め、肉体労働で生計を立てていたようだ。その事故が起こったのは週刊少年ジャンボの出荷作業。積み重なった雑誌を運ぶ際に、梱包が崩れ、大量の漫画原稿が可久士を押しつぶした、というのが事故のあらましのようだ。漫画家を辞めていたのに、漫画に押しつぶされてしまったのだ。彼は当時、漫画が大嫌いと同僚にこぼしていたらしい。

 中目黒の家を売り払い、狭いアパートに引っ越しをするほどにお金がなかったのは、やはり彼の妻が巻き込まれた海難事故の捜査が打ち切られた後も10年以上も自費で捜査をつづけていたことで貯金がなかったことが原因のようだ。さらには、この海難事故を美談として週刊誌に描かれてしまったことで、可久士の漫画ではもう笑えない、というコメントを可久士がみてしまい、もうギャグマンガは描けないと筆を折ってしまったのだという。そして、肉体労働をはじめ事故にあい1年以上目を覚まさないでいるのだという。

 従弟に会って話を聞き、少しすっきりした姫に可久士が目覚めたという連絡が入る。だが、眼をさましはしたものの、かけつけた姫を見て可久士は「君は誰だ?」と問いかける。そう、彼は記憶を失っていたのだった。
 
 最終回で記憶喪失は要素詰め込みすぎだと思ったもののここからの展開がまた見事だった。
可久士の記憶喪失は、ここ直近の7年の記憶が失われているだけであり、姫の事を忘れたわけではなく、彼の中ではまだ姫は10歳なのだ。だから成長した姫の姿を見ても姫だと認識することが出来なかったのだ。

 さらに、まだリハビリもできていないから外出することもできないから姫に会いに行くこともできないならば、読者の為に漫画を描く、と言い出し当時のアシスタントたちもいたことから病室で漫画を描きだす可久士。しかも7年前に描いたものをそのまま描いてしまうなど、まわりも指摘したいができない状態を暫く過ごすことに。姫も新人のアシスタントとして認識され、父の仕事を始めて目の当たりにすることに。父に認知されないさみしさと、父が大好きだった仕事に没頭する姿を見てうれしい気持ちが交錯する。

 姫は、記憶が戻らなくても、父が好きな仕事をしてくれるのが幸せなのかもしれない。と思い始めるが、ふとした時に可久士が「漫画を描くことよりも、姫が健康で大きくなってくれることが自分の一番の幸せだ」と語るのを聞き、決意を固める。

 目黒川探偵事務所の面々に声をかけ、鎌倉の家までひた走り、姫は可久士の描いた原稿をありったけもって病室に戻る。そして、可久士の空白の7年間の原稿を読ませることで失くした記憶を取り戻してもらおうとする。原稿を描いていたときにあったであろう、アシスタントとのエピソード、そして姫の成長が少しずつ可久士の脳裏によみがえる。中学にあがった姫、一緒に狭いアパートに引っ越した時の姫。そして原稿から目を上げると、18歳になった姫がそこにいる。

 全てを思い出した可久士は、姫に漫画家だとばれたことに慌てふためくが、やっとかくしごとのない親子としてまた再会できたのだ。

 怪我も回復し、退院できた可久士は入院代を妻の父に借りいていた分を一括返済するために新しい連載についての打ち合わせを行う。アシスタントだった羅砂がNewG-Proという会社を立ち上げていたでなぜかそこでの打ち合わせ。十丸院の「下ネタ漫画家が娘に仕事隠す話」を提案するが、「そんなの誰が読むんだ?」と返すけれども、今それで視聴者みんな泣いているんだからぜひ描くといい。また下ネタ漫画になるかもしれないが、もう姫に対してかくしごとは残っていない。

 「かくしごと」がなくなった後藤家だったが、姫のほうにも父にかくしごとがあるようだ。絵の才能が見込まれる姫は学校では美術部に所属しているようだが、彼女が部活で描いているのは「漫画」。家で描くと父にばれる、と学校でこっそり描いているようだ。あの父にして、この娘あり。 二人はとっても似た者親子だ。

 可久士はもう死んでいるのではないだろうか、と1話からずっと不穏な空気をもってギャグとのギャップに毎週ハラハラしていたが、なんて素敵なハッピーエンドなんだろう。「かくしごと」の中に「隠し事」「描く、仕事」「隠し子と」など言葉遊びが散りばめられておりそのセンスもたまらない。

 次週も「最終回アンコール放送」なるものがあるらしいがこれは一体? とにかく、ハッピーな気持ちでラストを見終えることが出来てこんなにうれしいことはない。コロナ禍で製作も大変な中、まるまるっと止まることなく完走してもらえてうれしかった。これからも後藤親子が幸せでありますように。
(文=三澤凛)

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