アニメ『フルーツバスケット 2nd season』圧倒的な立場の前で「No」を唱えられるか?現代社会の問題にも通じる第10話

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『フルーツバスケット』公式HPより

 今回は11巻64話と65話のエピソード。これにて夏の別荘でのエピソードは全て終了だ。慊人が来たことで様々なキャラクターが傷を負ったけれど、慊人が来たからこそ物語が大きく動いた、とも言えるのでなんだか複雑な気持ちになる。

 まもなく旅行も最終日。最終日の前に透くんにさみしい想いをさせたお詫びも兼ねて花火をやろうという提案が行われる。慊人が来たことで日中出ずっぱりだったみんなで楽しい思い出を残したいのだ。透くん本人は、慊人が来たことで皆の空気が変わったことや、夾が呼ばれたことなどは意味のあることで全てがマイナスだとは全く思っていなかった。

 だが、夾と紅葉が話している内容を聞いてしまい、皆にはそれぞれに色々な思いがあるのだと理解する。夾は、皆が慊人に呼ばれて透くんをおいていくことに対して不満を持っていたが、それは慊人が透くんに対していらない興味を持ち彼女に何か危害を加えることを防ぐためでもあったのだ。自分を想って行動してくれること、それほどまでに皆が縛られる慊人という存在。透くんの中でも複雑な思いが交差する。

 明日の花火を楽しみに、皆が眠りにつく時刻。そんな時間になってから慊人は現れた。最初に気付いたのは紅葉。慊人は「本田透に会いに来た」というが、慊人から出ているのはいら立ちの感情。そんなときに透くんに会わせたら危害を与えかねない、と紅葉は警戒し、会わせられないと答える。

 十二支が慊人には向かうことなどあってはならない。紅葉は強くたたかれ、負傷してしまう。その様子をたまたま見てしまった透くんは状況が掴めないまま、紅葉をかばおうと慊人の前に現れてしまう。

 紅葉はことの危険度を感知し、とっさにその場から姿を消す。二人きりになった透くんと慊人。慊人は透くんに対して「嫌な人だ」「気持ち悪い」「いい気になるな」「下種が」などなど痛烈な言葉を浴びせ続ける。

 そして、自分が夾や由希を助けたと勘違いするな。高校を卒業したら夾は幽閉。由希も草摩の中からは出られない未来が待っていると告げる。 なぜ、慊人がそんなことを決めるのか? 慊人はもしや酉憑きなのでは? と一時期思っていたが、目の当たりにして気付く。十二支の話には、もう一人登場人物がいたことに。

 そう、慊人は宴会を開こうとした「神様」。十二支にとって神にも等しい特別な存在なのだ。だから彼らは慊人のいうことなすことに逆らえないのだ。慊人は十二支はずっと自分の側にいることが決まっており、それが幸せなのだと透くんに告げる。だが透くんはそれを幸せだと思えない。彼女は知っているのだ。夾や由希が前に進もうと、変わろうとしている姿を。

 透くんの頬に大きなひっかき傷をつけ、酉憑きの十二支紅野がきたことで慊人は帰っていた。入れ違いに、紅葉が羽鳥や紫呉を連れてやってきてくる。夾や由希やハルも異変に気付いていたが、どうすることもできずにただ見ているしかできず、そんな自分たちにいたたまれない想いを抱いていた。とっさの判断で大人を呼びに行った紅葉も、ただただ涙をこぼすばかり。

 ここにいた十二支たちは誰も悪くない。ただただこの抗えない関係が招いた出来事だった。最悪な夜を終え、待ちに待った花火。皆が明るく楽しく一緒の時間を過ごす最後の日。夏の思い出を花火をしながら作っていく中、透くんはある決意をする。それは、皆が縛られる「十二支憑き」という呪いを解くこと。傲慢でもなんでも、彼らを助けたいと強く決意したのだ。

 ここから。やっと結末に向けて走り出した感がある。全員の気持ちが痛いほど伝わってきて泣きそうだ。何よりも今回は紅葉くんが一番頑張った。慊人の恐ろしさ、これからまだまだ出てくるけれども、圧倒的な立場の前で「No」を唱えられるかどんな行動をとるべきなのかは、現代社会にも通じているようにも感じられた。
(文=三澤凛)

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