アニメ『フルーツバスケット 2nd season』原作にそった演出に夾の一言一言に涙な第9話

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『フルーツバスケット』公式HPより

 今回は原作11巻62話と63話のエピソード。かなり原作にそった演出に、夾の一言一言に涙が溢れる回だった。

 夾が初めて慊人に呼ばれたことを知り、感激する透くん。猫が集まりに呼ばれることはないときいていたからこそ、夾が呼ばれたことは大きな一歩に感じたのだ。だが夾も他の十二支たちも、それが喜ばしい内容でないことなどわかっている。どこまでも理不尽で、だけど抗えない呼び出しと苦痛だとわかっているのに離れられない時間。それに招かれただけなのだ。見送った透くんは、どんな内容のお呼ばれであったとしても、夾が帰ってくるときに少しでも楽しい気持ちになってくれることだけを願った。

 案の定慊人の元に出向くとはじまるのは人格否定の嵐。自分が化け物であることを忘れていないか? やっぱり猫はネズミには勝てない。幸せになれると本気で思っているのか? 誰のせいでお前の母親が死んだと思っているのか? などなど陰湿な言葉を投げつける。これを会うたびにやられたら自己肯定感もぺっちゃんこになるし、何よりも心に大きな傷を負うことは間違いない。

 さらに慊人は夾に、高校在学中に由紀に勝つことが出来たならば、化け物扱いをすることもなく十二支の仲間に加えるという賭けを持ち掛けていた。もしも達成できなかったらその時は死ぬまで幽閉という過酷なもの。まだまだ時間はあるはずなのに、それでも慊人はこの賭けに夾が勝つことはありえないと断言する。

 さらには、変に希望を持ち始めてしまったのは透のせいではないかと疑い始める。夾のことをかばいたてる透くんを「バケモノ」と呼び夾がも透くんを好きなのであればバケモノ同士が気持ち悪いと蔑む。とにかく透くんについていら立ちを抱えているようで、彼女に危害をくわえそうな様子を見せた慊人に、彼女が好きなのか、と問われた夾は「好きじゃない」と声を絞り出す。

 だが、この慊人の問いかけのおかげで夾は自覚する。自分がこんなにも透くんのことを好きになっていたことを。笑った顔が、自分のことを呼ぶ声がどれだけ大切だと思っているかを自覚する。涙を流してしまうほどにその気付きは大きなもので、だからこそ慊人に悟られるわけにはいかなくて渾身の力を振り絞って「好きじゃない」と嘘をついた。

 夾が帰った後、慊人は由希に彼が透くんを好きじゃなと言っていたと伝えるが、もちろん由希はそれが嘘であることなんて100も承知だ。そしてそんな言葉を言わされた夾にも、今回ばかりは由希も同情したのではないだろうか。

 慊人から解放され這う這うの体で家路につく夾。誰かを好きになったり愛してもらいたいと願ってもそれを拒絶されてきた彼はやはり透くんを想うこともしてはいけないのだと、自分に言い聞かせるように思いこもうとする。だが、彼女を目にするとやはり自分が彼女を好きだという気持ちが溢れてくる。ずっとそばにいてほしいと思わずにはいられない。だけれども自分が猫憑きという存在であることもまた嫌というほどにわかっている。

 だからこそ、残り少ない一緒にいれる時間だけは側にいてもらいたいと強く願ってしまう夾のモノローグの一つ一つが涙腺を壊しにかかってくる……。愛情が重たくなりすぎる、というか慊人は十二支憑きや夾を自分の所有物として思い込みすぎていてそれは絶対的な関係の愛情でもあるのだろうけれど、その当たりがあまりにも重たく冷たすぎて苦しい。 意のままに動かせると思っているのも、愛情を試したくてやってしまっているようにも見えて痛々しい。

 ただただ、夾の幸せを願わずにはいられない。その時がくるのを待っている。
(文=三澤凛)

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