“人気ランキング”に“口説き”、太客には“接客”もアリのシビアな舞台『私のホストちゃん』がオタクにウケる理由

 当然、このシビアなシステムは賛否両論を巻き起こしましたが、公演を重ねるにつれ、前代未聞のライブ・エンタテイメントとして女性たちの心をつかみ、チケットは即完売するなど、今ではすっかり人気シリーズとなりました。もちろん、私もこの舞台の虜になった一人です。

 でも正直なところ、No.1になれずステージ上で悔しい表情を浮かべていたり、日に日にやつれていく推しの姿や、複雑な心情を綴ったキャストたちのSNSを見るとこっちまで心が痛み、楽しいはずの観劇がツラく感じたこともありました。それに、「何公演もV.I.P席で入ってるのに全然口説かれない」とか「●万貢いだのに太客になれなかった」とか(正直、知ったこっちゃないけど)、そういう話を聞くたびに、「俳優にとってもオタクにとっても、精神的にしんどい舞台だな……」って思ったりも……。

 だけど、それでもこの作品が愛され、これまで4作も上演されているのは、ホストたちが全力で「No.1」を目指して“ガチバトル”を繰り広げているからこそだと思います。毎公演、頂点に立ったホストのみが袖を通すことができる“白スーツ”を目指し、熱い戦いを繰り広げるホストたち。人気投票の結果によってラストが決まる、誰がNo.1になるかわからないドキドキの展開だからこそ、No.1になったときの喜びは大きいし、ホストも観客もまたその感動を味わいたいと思ってしまう。だからホストも頑張るし、オタクもそれにラブで応えようとするのでしょう。

 今回の『REBORN』では、ドラマ版から作品の人気を支えてきた「Club vannila」のメンバーが卒業し、お馴染みの甘王(オキャディー)、染谷俊之演じる深雪、久保田秀敏演じる流星に加え、“公開入店テスト”という名のオーディションで選ばれた20名のフレッシュホストちゃんたちが登場。人気2.5次元舞台で活躍する俳優から、今作で舞台デビューを飾る新人まで、個性豊かな面々が顔を揃えています。

 見どころはなんといっても、新たに取り入れられたガチンコ口説きバトル「MITSUDOMOE」。各回No.1フレッシュホスト決定後に、レジェンドホストである深雪・流星とともにそのNo.1フレッシュな彼が“ガチ口説き”をし、観客は入場時に配布されるハートマークシートと鉛筆で、一番「キュン」としたホストにその場で投票(シートはホストたちが回収しにきてくれます)。結果はすぐに集計され、この三つ巴バトルを制したホストは、「真のセンターを張るべき男」を意味する“センターGUY”の称号が与えられ、大フィナーレでセンターを務めることができるのです。フレッシュホストが2冠を手にするのか、それともやぱりレジェンドホストがおさえこむのか、必見です。

 また、『ホストちゃん』を見たことがある人なら分かると思いますが、今回も小ネタが満載です。ネタバレにもなるし、この作品特有の“トンデモ”展開の連続はうまくまとめられる自信がないので省きますが、築地問題や東京オリンピックに向けた都市開発といった時事ネタや、●ニーズ系アイドル、●代目系グループの登場など、パロディネタが盛りだくさん! さらにホストたちが歌って踊るライブシーンもたくさんあるので、シビアなランキング制度の傍ら、たくさん笑わせてくれました。

 公演パンフレットにある総合プロデューサーの鈴木おさむさんのコメントによれば、今後この作品が続いていくか否かは今回成功するかにかかっているんだとか。ラストの甘王さんのセリフからもなんとなく、シレっと来年あたり続編を上演しそうな気もしますが、果たしてどうなることやら。推しには出てほしくなかったり、でも、ちょっとホスト姿を見たかったり……。推しがいればツラいこともあるけど、やっぱり楽しい! そしていなかったらすごく楽しい!(たぶん) そんなことを考えながら会場を後にしたのでした……。

愛をナメんなよ!(紫盤)

愛をナメんなよ!(紫盤)

ナンバー1♪ ナンバー1♪

“人気ランキング”に“口説き”、太客には“接客”もアリのシビアな舞台『私のホストちゃん』がオタクにウケる理由のページです。おたぽるは、その他演劇の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー
写真new
写真
写真
写真
写真
写真

ギャラリー一覧

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!