“笑う洋楽展”みうらじゅん&安斎肇コンビが放つポルノムービー『変態だ 』。衝撃のラストシーンに思わず絶句!?

 原作はMJが2014年に「小説新潮」(新潮社)に掲載した同名の短編小説。浪人のすえに二流大学に合格した男(前野健太)は、入学式にうっかり寝坊してしまう。誰もいない入学式会場に佇んでいると、アフロヘアの女(信江勇)から声を掛けられ、「いいから、いいから」と無理矢理に連れ込まれたのがロック研究会の部室だった。狭くて散らかった部室で、大麻タバコを吸っているロック仙人と呼ばれる部長や、後にバンド「レッド・ツベルクリン」を組むことになる先輩たちと出会う。高校時代は部屋に篭って孤独に曲づくりに励んでいた男にとって、この部室は居心地のよい空間となる。やがて上級生たちは就職活動のために部室を去っていくが、男が新たに命名したバンド「不合格通知」は折からのバンドブームに乗って、運良くメジャーデビューを果たすことに──。

 と、ここまでは『アイデン&ティティ』とほぼ同じ内容。『アイデン&ティティ』はテレビの生放送中にNGワードを連発した主人公・中島が長年付き合ってきた彼女に結婚を申し込むところで終わったが、『変態だ』では主人公である男の結婚生活が描かれることになる。かわいい上にすごくエロい妻(白石茉莉奈)と家庭を持ち、一児にも恵まれた男だったが、メジャーデビュー前に作った曲「ジェレミー」が小ヒットした以外はミュージシャンとしてはパッとしない状況だった。しかも、男はもうひとつ深刻な問題を抱えていた。大学の頃からの付き合いとなる薫子(月船さらら)というセックスフレンドがおり、どうしても別れることができずにいた。というのも男は薫子によってSM調教されており、妻や子どもとの平穏な生活だけでは満足できない体となっていたからだ。

 映画『アイデン&ティティ』では、中島(峯田和伸)の付き合っている彼女(麻生久美子)が吐く台詞が胸に刺さった。「キミは私のことをマザーだと思っているでしょ。でも、マザーっていうのは君が思っているような安定型じゃないの。君が憧れている破滅型と隣り合わせにいるの」という言葉だ。原作者であるMJ本人に聞いたところ、「麻生さんが演じた彼女は理想の女性像でしょとよく言われる。確かに理想の女性像なんだけど、あの作品の中の台詞はすべて実在の女性が言った言葉。何人かの女性を組み合わせたもの」だという。『アイデン&ティティ』で麻生久美子が演じた理想の女性像は、『変態だ』では白石茉莉奈と月船さららが演じ分けることになる。『アイデン&ティティ』の中島が理想と現実の狭間で苦しんだように、『変態だ』の男は平穏な幸せと刺激的なセックスライフとの板挟みで悩むことになる。男にとって煩悩こそが表現活動の源泉であり、どちらか一方に簡単に決めることができない。

1612_hentaida_03.jpgSMの女王・薫子を演じるのは宝塚出身の月船さらら。『世界で一番美しい夜』(08年)に匹敵する怪作への出演となった。

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