「ヒットの要因は脳内補完にある」2.5次元演劇界の先駆者・松田誠氏が語る「2.5次元ミュージカル」の新たな市場開拓

■先駆者が語る「2.5次元作品」成功のカギ

 松田氏は、『テニミュ』をはじめとするこれら「2.5次元ミュージカル」作品のヒットの要因は、

①ヴァーチャルの普及によるリアルの希少価値
②アニメやマンガ、ゲームから舞台への表現方法
③キャラクターや物語の認知

にあると分析。中でも、②の表現方法については“脳内補完”が大きく影響しているという。

 例えば、自転車ロードレースマンガが原作の舞台『弱虫ペダル』シリーズでは、自転車は使わず、役者の演技とハンドルのみでレースシーンを表現するといういわゆる“パントマイム的”演出方法を採用。観客は脳内で自転車を想像し、役者たちの熱のこもった疾走感溢れる演技に魅せられた。「映像は細かいディティールまで作りこむが、舞台は省略の文化。ハンドルだけにしたことが成功に繋がった」と松田氏は語る。

 また、バレーボールマンガが原作の、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』では、傾斜のある床やバックスクリーンに映像やマンガ、セリフを映し出すというデジタル要素と、演技というアナログ要素を融合させバレーボールシーンを再現。これについても「映像をうまく利用して作った一つの成功例」と語るように、最新映像テクノロジーを駆使した演劇表現は製作発表時から話題を呼んだ。

■2.5次元的ビジネスの拡大

 また、「2.5次元作品」は他の演劇作品とは違い、作品やキャラクターごとの関連グッズといったマーチャンダイジングも好調で、舞台興行よりも収益の占める割合が高く、これらも“成功のカギ”となっているとか。

 公演DVDやBlu-rayは、パッケージ化されても「ここのシーンのアップが見たい」と客席からではなかなか見ることができない俳優の細かい表情を見るために、生で観た人の多くも購入する傾向があるそうだ。

 その他にも、ライブビューイングでは「千秋楽を見届けたい!!」というファン心理からか、会場で観劇できない人が映画館に足を運び、今年5月に上演された舞台『刀剣乱舞』では4万人を動員。国内のみならず台湾や香港などのアジアの映画館でも展開するなど、海外ファンからも支持されていることがうかがえる。

 さらには、ネットでの映像配信、コラボカフェ、CDの販売など、「2.5次元」ならではの様々なビジネス的広がりがあると語った。

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