「美術手帖」の“2.5次元特集”が、もはや“テニミュ特集”でファン歓喜!! 一方で、「オタクに媚びすぎ」との声も……!?

 近現代美術を中心に、内外の美術動向を紹介する「美術手帖」(美術出版社)。17日発売の7月号では、「2.5次元舞台/ミュージカル」「2.5次元文化領域」の2大テーマで、 “2.5次元文化”を特集しているが、その内容が、ミュージカル『テニスの王子様』(以下、テニミュ)に特化したもので、ファンの間で話題になっている。

 前半の「2.5次元舞台/ミュージカル」パートで、『テニミュ』や舞台『刀剣乱舞』などの人気作をはじめ、2.5次元舞台で活躍する俳優や演出家のインタビュー、さらには知識人の論考を掲載し、様々な角度から2.5次元作品の人気の理由と魅力を紹介している今号。中でも一番の注目は、33ページにわたる大ボリュームで展開している『テニミュ』の記事だろう。7月から始まる最新公演、「青学VS氷帝」から、越前リョーマ役・古田一紀、跡部景吾役・三浦宏規、日吉若役・内海啓貴のキャストインタビューや、今年5月に開催されたコンサート『Dream Live 2016』のスペシャル・フォトページには、掲載写真に多少キャストの偏りはあるものの、「美術手帖素晴らしすぎてもうなんだこれ神か!!!!!」「やばいかっこいいwwほんとに感謝」と、喜びの声が上がっている。

 しかし、見所はそれだけではなく、エグゼクティブプロデューサーの松田誠やオリジナル演出の振付の上島雪夫、脚本と作詞を手がけている三ツ矢雄二氏のインタビュー記事を掲載しており、演者のみならず創り手の視点から、テニミュの求心力を紐解いている。松田氏は『テニミュ』が2.5次元ミュージカルを牽引してきた理由は、「原作の強さ」や「演劇的な変換の成功」にあるという。上島氏は、「未完成で幼稚だからこそ、少年たちが必死に成長していく過程が魅力なんです」と、ストーリーやキャラクターだけでなくキャストの成長を見守っていく過程にも楽しみがあると、それぞれ『テニミュ』の魅力を分析。さらに、三ツ矢氏は、「原作のセリフのひとつを核にして、その言葉を飾る歌詞を選んでいます。とにかく原作のイメージを壊さないように、ひとつの楽曲の作詞をすることに心がけている」と、脚本・作詞のこだわりを語った。

 ここで、インタビューとともに掲載されている歌詞の中から、一部を紹介したい。

負けない 俺は絶対負けない お前 打ち負かし
しおれたお前にこう言い放つのさ You still have lots more to work on
(越前リョーマ「俺は燃える」より)

知ってるかい? YOU KNOW? あいつがテニスの天才少年
知ってるよ WE KNOW あいつがテニスの王子様
(青春学園「THIS IS THE PRINCE ON TENNIS」より)

 シーズンごとに演出家から変更の指示があり、書き換えているという歌詞。文字だけ見ると、「一体何を言っているんだ!?」と感じる人もいるかもしれないが、テニミュを見たことがある人であればおそらく、頭の中でメロディが流れ始め、そのときの情景がパッと浮かんでくるだろう。試合中のキャラクターの心中や、チームメイトを鼓舞する熱いエールなど、それぞれのキャラクターやチームの個性を際立たせながら、キャッチーな楽曲で、物語を盛り立てていく――『テニミュ』において歌詞は、重要な役割を担っているのだ。初演から現在まで作詞を手掛けている三ツ矢氏は、「ひとつひとつのシーン毎にちがった歌詞にしなければならず、原作のイメージから離れないように言葉選びをするのが大変」と、苦労も明かした。

 昨年3月発売の芸術総合誌「ユリイカ」(青土社)の4月臨時増刊号や、今年2月発売の総合文芸誌「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)3月号、女性週刊誌「an・an」(マガジンハウス)には数回取り上げられており、これまで様々な媒体で誌面展開されてきた『テニミュ』。2.5次元界を代表するコンテンツとして、どこまで進化を続けるのか、期待が高まる。

 なお、次号予告によると7月16日発売の8月号の特集は、「2016年のキャラクター論」と題し、新たなリアリティーを伴い現前しはじめた2010年代のキャラクター表現とその展望を考える内容になっているとのこと(※内容は都合により変更することもあるそう)。12年11月号では『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦、13年6月号では「初音ミク」、14年12月号では「ボーイズラブ」、15年2月号「ロボットデザイン」など、これまで度々オタク向けカルチャーを取り上げ、ファンを喜ばせてきた同誌。中には、「近頃の美術手帖さんはサブカルよりヲタク寄りだなー」「美術手帖の特集オタクに媚びまくってて笑う」「最近何を目指しているのか?」と、誌面の変化を嘆く読者もいるようだが……。

 15年の観客の年間総動員数は145万人、上演作品は100作品以上と、広がりをみせる2.5次元文化。それを14年にわたって先導してきた唯一無二の存在である『テニミュ』が、演劇界にどんな影響をもたらしていくのか、今後もますます目が離せない。

美術手帖 2016年7月号

美術手帖 2016年7月号

知ってるかい? YOU KNOW?

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