オタク第1世代は成熟期へと向かう!? 押井守監督、20年越しのSF超大作 『ガルム・ウォーズ』が日本公開!!

1605_grmsub02.jpg女戦士カラ(メラリー・サンピエール)は敵対するスケリグ(ケヴィン・デュランド)と共に聖なる森を目指すことに。

 舞台となるのは、惑星ガイアの衛星であるアンヌン(ケルト神話に登場する黄泉の世界)。この星で暮らしているガルムたちは全員クローン人間であり、彼らは3つの部族に分かれて戦い続けていた。地上で勢力を奮うブルガ族、空を支配するコルンバ族、情報収集に優れたクムタク族だ。ある日、コルンバ族の女性パイロット・カラは空中戦にのめり込み、母艦から逸れてしまう。敵対するブルガ族の兵士スケリグ(ケヴィン・デュランド)も同じ状況で、彼が連れていたクムタク族の老人ウッド(ランス・ヘリング)と3人で辺境地でのサバイバルを余儀なくされる。クローン戦士であるカラは死を恐れない代わりに自分は何者であるかという意識も持たなかったが、スケリグやウッドと交流することで、自分はどのようにして生まれたのか、なぜ戦うのかといった疑問を生じるようになっていく。知恵もののウッドは海の向うにある聖なる森へ行けば、ガルムを生み出した創造主ダナンにまつわる秘密が分かるかもしれないと話す。自分たちのアイデンティティーを求めて、カラたちは聖なる森へと旅立つ。

『ガルム・ウォーズ』は観る人によって、様々な解釈が可能な作品となっている。SFファンタジーとして純粋に楽しむことができるのに加え、アンヌンで繰り広げられる物語は人類誕生以前の古い神話のようでもあり、人類が滅亡してクローン人間だけが生存する未来社会のようでもある。また、現代社会の中で自我を持つことなくシステマチックに働くことを強要される社畜系労働者が夢見た一瞬の妄想世界のようでもある。押井作品では人形やロボットが重要なモチーフとなってきたが、本作に登場するガルムたちはクローン人間であり、創造主によって永遠の生命を与えられた人間もどきとして描かれている。ざっくり言えば、人間もどき=人形が自分の存在理由を求め、その答えを知る代償として限られた寿命となることを受け入れるというストーリーだ。人形たちに自我が芽生え、束の間の生の喜びを享受する。『ガルム・ウォーズ』は押井作品の集大成であり、本作に触れることは押井ワールドの完成に立ち会うということでもある。そして、人類の誕生以前と人類滅亡後の未来の両方に想いを寄せるという希有な体験もすることができる。

GARM WARS 白銀の審問艦

GARM WARS 白銀の審問艦

小説版です。あわせてどうぞ

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