交通事故のように唐突に襲い掛かる制御しがたい感情、それは“ひと目惚れ”　2016年の注目監督・今泉力哉の世界

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　大阪の吉本総合芸能学院（NSC）に通っていたこともあり、独特の風貌の今泉監督はどこにいてもすぐ目に留まる。本作の試写会場に顔を出していた今泉監督にコメントを求めると、作風と同じように飄々と応えてくれた。

今泉「撮影現場では四割くらい韓国語が飛び交っていましたけど、内容はいつもボクが描いている世界とあまり変わらないと思います（笑）。ボクは韓国語が全然できないので、日本語でボクが書いた脚本をまず韓国語に訳してもらい、現場では台詞のテンポだけ気を付けるようにしていました。韓国語って日本語よりもテンポが速くなりがちですから。表情に関しては見れば分かるので、ここはもっと明るく、もう少し暗く……みたいな感じで演出していましたね（笑）。韓国のホン・サンス監督みたいな作品を特に狙ったわけではなく、意識したのはこれまでの自分の作品よりもっと分かりやすいものにしようとしたことくらいかなぁ」

　人を好きになるという感情は、必ずしも両想いになれるとは限らず、空振りに終わるかもしれないという不安感も伴う。でも、自分の中にそんなドキドキと揺れ動く感情が生息していたことに気づけ、無性にうれしくなる。今泉監督の『知らない、ふたり』はこれまで見逃していた新しい才能、新しいキャスト、新しい感情と巡り合える喜びに満ちた作品だ。
（文＝長野辰次）

『知らない、ふたり』
監督・脚本／今泉力哉　撮影監督／岩永洋　音楽／アルプ　出演／レン、青柳文子、韓英恵、ミンヒョン、JR、芹澤興人、木南晴夏　配給／CAMDEN、日活　1月9日（土）より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
(C)2015 NIKKATSU, So-net Entertainment, Ariola Japan
http://shiranai.jp

 
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