交通事故のように唐突に襲い掛かる制御しがたい感情、それは“ひと目惚れ” 2016年の注目監督・今泉力哉の世界

shiranai_futari01映画『知らない、ふたり』より。

 人気コミックの実写化が2016年もまだまだ続きそうな日本映画界だが、そんなトレンドに流されることなく独自な面白さを発揮しているのが今泉力哉監督だ。“ダメ恋愛映画の旗手”と呼ばれ、オリジナル脚本作『こっぴどい猫』(12)や『サッドティー』(13)では個性豊かな登場人物たちが巻き起こす恋愛模様を、まるでひと筆書きのような軽妙な筆さばきで描いてみせた。短編時代の傑作『微温』(07)や『最低』(09)もDVD化されているので、新感覚のコメディを求めている人はぜひ観てほしい。

 今泉監督にとって初の原作付きの映画だった『鬼灯さん家のアネキ』(14)でも繊細な演出ぶりを見せていたが、最新作『知らない、ふたり』はますますオリジナル度の高い不思議な味わいの世界へと駆け上がっている。『知らない、ふたり』は韓国の男性アイドルグループ「NU’EST」(ニューイースト)のレン、ミンヒョン、JRの3人、さらに人気モデルの青柳文子、『誰も知らない』(04)や『アジアの純真』(11)で強いインパクトを放った韓英恵、若手実力派の木南晴夏らによる恋愛群像劇となっている。

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 本作に登場する国籍も職場も異なる多彩なキャラクターたちを突き動かしているのは、人を好きになったときに湧き上がってくるどうしようもない感情だ。いわゆる“ひと目惚れ”というヤツである。ひと目惚れには理由はない。出会ったばかりの相手について全然知らないのに、直感的にその人のことを好きになってしまう。目がクギづけとなり、心拍数がいっきに急上昇し、居ても立ってもいられなくなってしまう。どんな高級ワインやドラッグよりも心地よく酔わせてくれる。とはいっても、そう簡単にひと目惚れすることは叶わない。交通事故みたいに、ふいに襲ってくる予測不能な感情なのだ。ひと目惚れしてしまったら、一期一会の僥倖として全力でこの感情を受け止めるしかない。

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