【実写映画レビュー】いやそんなに気を遣わなくても……優秀な“動画マン”に徹した!?『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

 崩壊したはずの銀河帝国の残党が「ファースト・オーダー」と名乗る軍事組織で勢力を強めるなか、かつての英雄にして最後の(?)ジェダイであるルーク・スカイウォーカーが失踪。彼の居場所を示す地図をめぐり、ファースト・オーダーに所属する謎の黒ずくめ男カイロ・レン、ファースト・オーダーから脱走したストームトルーパーのフィン、砂漠の惑星で誰かを待ち続けている女性レイ、かつて反乱軍として銀河帝国と戦ったハン・ソロらが、巻き込まれたり戦ったりして……という内容だ。

 一言で言うなら、『フォースの覚醒』は「中割り」のような映画である。アニメに通じた方ならおわかりであろう。中割りとは、キャラクターの動きの起点と終点にあたる絵(原画)をつなぐ、中間の絵を描く作業のこと。一般的に、この絵を「動画」と呼ぶ。

 動画は前後の原画を邪魔してはいけない。原画を一切いじることなく、動きがなめらかに、挙動がリッチになるように、原画と原画の間に絵を「埋めて」いくのが動画の領分。もちろんこの場合、原画にあたるのは『スター・ウォーズ』の生みの親、ジョージ・ルーカスの作った旧三部作、新三部作だ(ルーカスは『フォースの覚醒』の製作にノータッチである)。

 結論から言えば、『フォースの覚醒』は中割りの役割を完璧にまっとうした。前後の原画の機嫌を損ねないよう、顔色をうかがい、細心の注意を払って作られたからだ。

 旧三部作に登場する懐かしいキャラも、小道具も、メカも、それっぽいセリフも、全部登場する。ぬかりはない。漏れも瑕疵もない。なにより、埃っぽい画面の手触りは完全に旧三部作を継承している。それはそれは敬意を払い、頭を垂れて。だから、CG過渡期の実験映像満載だった新三部作のように「こんなの『スター・ウォーズ』じゃねえ!」と叩かれたりはしない。

 しかし、ただ、それだけだ。サプライズはいくつも用意されていたし、懐かしさでうるっとくるシーンもある。でも、すべてが予定通り。物語という列車は驚くほど予定通りに運行された。時間通り発車して、時間通りに到着した、以上――である。

『フォースの覚醒』は、壮大なスター・ウォーズ世界を「なめらか」かつ「リッチ」にする役割は十二分に果たしていた。しかし、新しく何かを打ち立ててはいなかった。職人技を駆使した堅牢な建て増し建築ではあるが、イマジネーションにあふれた新築ではない。ノスタルジックな構造はあるが、エモーショナルな創意はない。

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