■ボーカロイドでCSRを 「神戸ルミナリエ」での合唱 ――
【前編】では『蒼姫ラピス』を携帯電話にバンドルしようと営業を行ったという話でしたが、御社のボーカロイド事業は具体的にどういったことをされているのでしょうか?
宮本 ボーカロイドというのは、音楽や絵もそうだけども、色々な展開をされているのが面白いと思ったので、企画を起こしてあちこちに首を突っ込んでいきました。その中の一つとして、神戸の祭典「ルミナリエ」にボーカロイドを参加させています。 阪神大震災の復興歌となった「しあわせ運べるように」という曲がありまして。この曲が「神戸ルミナリエ」で歌われるんです。元は小学生が歌う合唱曲なんですが、「じゃあ、この曲をボーカロイドに歌わせたらどうだろう」ということで、ボーカロイドが歌う「しあわせ運べるように」をルミナリエの会場で上映しながら、音楽を聴いていただくといったことを、この2年くらいやってます。ボーカロイドに慣れ親しんでない世代にもアプローチがしたいんですよ。 ――今はともかく、2年前ならボーカロイドの声を街中で耳にする機会も少なかったでしょう。ボカロ曲は基本的にネットで聴けるもの、という印象でした。
宮本 (ボカロ曲は)せいぜい一部のコンビニで流れていた程度ですし、実際聴きやすい時代でもなかったと思います。自分としてはもう少し広いところ、メジャーなところでやりたいと思ってたので、そういうのもアリだよね、と。でも「ルミナリエ(の意味合い)」って…鎮魂なんですよね。最初に神戸のほうにプレゼンに上がって、「我々はボーカロイドで『しあわせ運べるように』をこの場所で聴いていただだきたい。できたらイベントとかも含めてやりたいです」と話をしました。そうしたら先方が、キャラの絵を見て「こんなのはダメだ!」って(苦笑)。なので、最終的にはルミナリエに合うような絵を起こしました。 ――「神戸ルミナリエ」専用にイラストを描き起こしたんですね?
宮本 どちらかというと絵本的な感じで、NHKの『みんなのうた』とかをやられてる西内としおさんという知り合いのアニメーション作家さんに描いていただきました。その絵を持っていったら、「これならいいでしょう」ということになって。『しあわせ運べるように』は、作詞・作曲をされた臼井真さんが同名の本を出していまして、西内さんはその本の表紙を描かれている方なんです。