日曜日放送のアニメは人がガンガン死んでいく。だけどそのスリルや見せ方が面白くてつい引き込まれてしまう。前回までが彼らの過去編だったが、今回から本格的に「クライムコンサルタント」としてのモリアーティ兄弟の仕事っぷりが描かれる。
ウィリアムが大学の数学講師として赴任することになり、新しい家へと出向く。立ち寄った街で道を尋ねていたウィリアムを憎しみのこもった目で見つめる女がいた。彼女はどうやらこの土地の子爵に我が子を見殺しにされたとかで、貴族全体を心から憎んでいるようだ。どの土地にいってもある市民と貴族の軋轢を、赴任先でも目の当たりにしてしまったウィリアム。
先に家を整えていたルイスと再会し、お茶を入れてもらい一息つく。仮住まいといっていたが、それでこれだけの豪邸なのか……と思う程に家具や調度品もしっかり整えられていた。
アルバートも加わって夕食を囲んでいると、領主のベルファー子爵が兄弟にディナーの誘いがやってきた。早速三人はこの招待に応え子爵邸へと向かった。
みるからに悪役に見える子爵は、貴族同士のツテがほしいのか、露骨に今後も末永い付き合いをしたいと、兄弟を招いた食事を上機嫌に楽しんでいた。かなり酒を飲んでいたようだが執事に量を飲まないようにと止められ、薬を服用しだした。その様子に、話の流れで彼の体調について質問が飛んだ。なんでも心臓が悪いようで、薬を常用しているが、その薬を彼の所有する温室で自家栽培しているとのこと。
このころの貴族は温室で珍しい植物を集めることが流行っていたようで、彼もその一人であり、またそれを自慢に思っていた。
自慢の温室を見せびらかしたい子爵は、兄弟を温室に誘い自慢げに見せびらかす。なるほど立派な温室で、かなり手入れが行き届いている様子。生息地も育て方も違うものが大量にあり、育てるだけでもかなりの手間がかかっていることが見て取れる。
希少種は希少種の種からしか生まれず、それはさながら現代における貴族のようなもの、と自分たちの身分をかけてさらにこの温室が自慢なようだ。
この植物園は彼の雇うバートンという庭師が手入れしているようで、子爵は身分の低いものが汗を流すことで花を咲かせているというその構造が社会の縮図のようだと胸糞悪いことをさも楽しい話のように兄弟に語る。
兄弟たちがその手の会話を快く思わないことなど知る由もなく、子爵は今度はこの温室で茶会を開こうと約束をした。
この子爵の家で雇われているバートンの妻は、ウィリアムが日中出会った貴族を心から憎んでいた女性だった。彼女の子供を見殺しにした貴族こそ、ベルファー子爵だったのである。自分の子供が病気で一刻を争う状態だった時、町医者が不在にしており、親の代から雇ってもらっている子爵の専属医に見てもらえれば、助かるかもしれないと願い出たのを門前払いされたのだ。
そのまま子供は亡くなり、彼ら夫婦は絶望を抱えたままそれでもなお子爵に雇われて日々を紡いでいるのだ。
仕事を終えたバートンが家に戻ると、妻は亡くなった子供の分も食事を並べていたりする。出口のない悲しみとぶつけようのない怒りがこの家庭には渦巻いていた。
ウィリアムが大学で授業を教え始めたころ、街中でバートンとばったりと出くわした。ウィリアムはバートンに声をかけ、彼が世話をしている温室のすばらしさをほめたたえた。だが彼の反応は特になく、仕事だからとつぶやくだけ。あれだけの腕があれば植物園など他の場所でも引く手あまたなのでは? と問いかけるが、彼にとっては他の場所へ踏み出すという選択肢などなく、代々続く庭師という生き物でしかないと自嘲気味に笑うだけだった。
ウィリアムは彼に子供のことを知っていると話、このままでは奥さんが辛いのでは? というが、その発言にバートンは怒りだしてしまう。どうにもできずに歯がゆい思いをしているのは誰でもなく彼なのだ。どうしたら妻の心を癒すことができるのかわからずいるバートンにウィリアムは「クライムコンサルタントをやっている」と彼の力になれるかもしれない、とそっと手を差し伸べた。
その後、三兄弟は子爵の自慢の温室でお茶会にお呼ばれされることに。手ぶらでは何なので、と手土産を持参しての参加だ。彼らがもってきたものはマーマレードのように見えるもの。それをクラッカーに塗り、食べてみるがそれがなんの味なのかわからない。
正解は、この温室でも育てられているグレープフルーツのジャムだ。この時代、グレープフルーツは観賞用で食するものではないというのが一般的な認識だったようだ。さらにバートン夫妻が手伝って、このグレープフルーツのジュースも用意されることに。刃物で一個ずつグレープフルーツを切り分けていく妻。目の前には我が子を殺した憎き子爵が。彼女は憎しみを止められず、手に持っていたナイフで子爵に切りかかってしまう。
勿論、他の者が彼女の暴走を止め、子爵に怪我はなかった。だが、突然のアクシデントに興奮した子爵は持病のせいで心臓に痛みが走る。苦しみ始めた子爵に、ウィリアムたちはいつも彼が飲んでいる薬を差し出す。そしていつもなら水を口直しに飲んでいるところに、グレープフルーツジュースを差し出す。
一気にグレープフルーツジュースを飲み、ひとごこちついた子爵は自らを襲おうとした妻と、その夫であるバートンを解雇すると騒ぎだす。すぐに屋敷を出ていくようにとバートンに言い渡すが、妻は警察に渡す前にひどい目に合わせてやる、と公言したその時、彼は急にめまいを起こして倒れてしまう。
現代でも、薬の飲み合わせにグレープフルーツジュースは厳禁。この時代、まだグレープフルーツジュースというものが出回っていなかったこともあり、知識もなかっただろうことが災いしておこったのだ。
彼が飲んでいた薬のキニーネはグレープフルーツジュースと一緒に服用すると一気に血圧を下げてしまうのだという。
この現場にいるのは、子爵とバートン夫妻、そしてモリアーティ兄弟だ。助けてくれと懇願する子爵に、ウィリアムは「同じ台詞を言われた時に自分がなんて答えたか覚えているか?」
と問いかけ、バートン夫妻が彼の元に助けてほしいと懇願した際にけんもほろろに断ったことを思い出し、そのままこと切れてしまった。
子爵が亡くなり、働く場所を失ったバートン夫妻は、モリアーティ兄弟の紹介で植物園へと向かうことになったようだ。クライムコンサルタントに力を借り、彼らの一番恨んでいた子爵を自らの手によって殺した夫婦は同じ罪を背負ったことで更に強固な絆が生まれたようだ。この兄弟のように。
こうしてまた生かしておくべきでない貴族を葬ったウィリアムたち。このパターンで今後も続いていくのか、彼の宿敵となるホームズなども今後の展開的に現れるのだろうか。
TVアニメ『憂国のモリアーティ』改めてクライムコンサルタントとは?第4話のページです。おたぽるは、アニメ、作品レビュー、憂国のモリアーティの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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