TVアニメ『憂国のモリアーティ』モリアーティ兄弟の絆にゾクゾクする第3話

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　まだ物語の序盤も序盤。モリアーティ3兄弟がいかにして兄弟になっていったかというくだりなのだが、これがどうしてかなり壮絶である。

　イギリスの階級社会。これがあることで、人々は呪いにかかり悪魔が生まれる。それならばその逆もしかり。悪魔が消え去れば人の心は澄み渡り、呪いが解ける。この国はきっと美しい。それを一緒に見てみたいとは思わないか？　そう、ウィリアムに言われたアルバートは、とっさに口に出してしまったのだ。「うちにおいで」と。

　こうして、ウィリアムとルイスはモリアーティ家に養子として迎え入れられた。だが、当のモリアーティ家の面々は二人が家にやってきたことに対してかなり否定的。家の執事までもが彼らを差別し、汚らしいものを見るような目で見、さらに侮蔑的な言葉を投げつける。アルバートはそれを目にするたびに叱責するが、彼の見ていないところで何度も二人の兄弟は蔑まれていた。

　モリアーティ家当主は、社交界で二人も孤児を引き取ったということで英雄扱い。貧しいものに手を差し伸べるのは持てるものの定め、などと言っているがうわべだけのその言葉にアルバートは嫌悪を感じていた。

　ルイスは元々体が弱く、モリアーティ家に引き取られたのちに手術を受けさせてもらえることになっていた。だが、そんな彼を病原菌扱いして辛く当たる本物のウィリアム。彼はわざわざルイスに話しかけ、茶を入れさせ目の前でそれをこぼして掃除するように命じたり、フォークを使って彼を傷つけようとしたりと同じ人間に対する行動とは思えないようなことを仕掛けてくる。

　ルイスは彼の言う通りにしようとするが、それを庇ったのはウィリアムだった。ウィリアムはルイスの代わりに自らの手を刺し、その傷口を見せて満足か、と見せつける。へりくだったりもせず、彼が望むことを自らやってのけて黙らせたのだ。

　アルバートは自分の実の弟が彼らに対して卑劣な行為を行っていたことを恥じ二人に謝罪する。ルイスは、なぜアルバートが自分たちを引き取ったのかわからないと兄に問いかける。アルバートが自分たちから得る正当な報酬は何で、自分たちはそれを返せるのだろうかと。ウィリアムはその問に対して、もう少し時間をおけばその答えはわかる、と答える。彼にはアルバートが自分たちに求めているものにだいたいの検討がついているようだ。

　とある日の夕食。家族と食卓を囲んでいたアルバートは、彼らの会話にほとほと愛想が尽きていた。実の弟の方のウィリアムは、同じ屋根の下に下等生物を二匹も飼っていて集中できないと駄々をこね、母はもうあの二人を出ていかせようといい、父親は外面を気にしてばかり。

　どんどんどす黒い気持ちになってしまうアルバートは無言で食事の席から立ち去ってしまう。そのまま向かったのは、あの兄弟の元だ。彼は歪んだ世界に耐えられなくなり、ウィリアムならどうするのか、それを聞きたいと思ったのだ。

「それがあなたの僕に求める報酬ですか？」　とウィリアムは微笑み、彼に手を差し伸べた。アルバートが求めるものを、彼は与えることにした。それは、世界を汚す人間を消し去る方法。

　ルイスたちに罪を着せて家を追い出そうと考えた本物のウィリアムが彼らの部屋へと忍び込んだ。ちょうど作戦を決行しようとしたときにやってくる彼は飛んで火にいる夏の虫のようだ。　

　兄弟が起きていることにも驚いたウィリアムだったがさらに驚いたのはそこにアルバートもいたことだ。アルバートは実の弟であるウィリアムが浅慮を働かせ彼らを家から追い出そうとしているその行動にも嫌気がさしていた。孤児のウィリアムの差し出す木の杭を握り、それをウィリアムの腹に突き立てる。

　一発で死なないように、万が一検死された際にこの攻撃で即死したと気づかれないように苦しむような怪我を負わせた。そしてアルバートたちは協力して家じゅうのがスランプに細工をし、自分たちは安全な場所に隠れ、家中にガスが充満する時をまち、細工をしかけ火がついて爆発するのを待った。

　作戦通り、家は爆発し火の中から軌跡の生還者のように三人で表へと出ていったのだ。これが、この兄弟の始まり。アルバートは孤児のウィリアムの知識と引き換えに自らの持つ財産と命を授けると約束をした。彼の志に必要な物をすべて差し出すから彼の理想とする世界を見せてもらいたい。

　その契約の元、この火災は作られ、実行された。かくして、モリアーティ兄弟の絆は生まれ、物語が始まった。この三人が織りなす物語はこれからどんなものを見せてくれるのか。ゾクゾクが止まらない。