TVアニメ『憂国のモリアーティ』モリアーティ家の兄弟の過去を遡った第2話

TVアニメ「憂国のモリアーティ」公式サイトより

 1話の時点よりかなり昔にさかのぼり、モリアーティ家の兄弟についてのいきさつについてのエピソードが語られた。19世紀末のイギリスという時代的なものもあり、そのいきさつはかなり複雑なものになっていた。

 産業革命による混乱と発展の中、イギリスは植民地をどんどん広げ、太陽の沈まぬ国と呼ばれるようになった。この国は、全体の3%を占める特権階級に支配され、階級制度が蔓延し、その階級によって人々は区別され、差別を生んでいた。

 幼少期、ウィリアムは街で競馬に熱中している人に声をかけ、予想を手伝っていた。競馬は情報を分析すれば勝てるゲームだというのが彼の持論らしく、その持論に助けられた人物は多いらしい。他にも害虫駆除の知恵をもらった人がお礼に芋を差し入れてくれたり、と彼の知識がほうぼうで役に立っている様子。たまたまそこにアルバートが通りかかり一緒に帰宅することに。

 後にウィリアムの姿を見た人たちが、あれはどこの子だっけ? という会話をしており「モリアーティ家のご子息だ」といわれたが、あんな子だったか? と顔を合わせる人達もいた。

 ウィリアムが屋敷に戻ると、執事が弟のルイスをこき使っていた。体の弱いルイスには辛い作業だが、執事はいら立ち、もっと働かせようとする。さらにはウィリアムにも冷たい言葉を吐き、彼が来ているアルバートのお下がりのコートすらお前には勿体ないとぶつぶつ文句を言っている。

 執事がなぜ、家の人間であるはずの二人にこれほどまでに文句を言えるのか? それは、彼らが本当の貴族でこの家の子供ではないからだ。

 話はまた、この時よりさらに前にさかのぼる。アルバートは家からラグド・スクールという孤児たちのための学校に慈善活動で向かおうとしていた。そんな彼に声をかけたのは、彼の実の弟、ウィリアムだった。そのウィリアムは1話から私たちが見ていた彼とは違い、生まれながらして貴族階級として育ってきた、アルバートが一番嫌う人間そのものだった。下位の人間を人間とも思わないような振る舞いをアルバートは嫌悪していた。

 そんなアルバートが出会ったのが、現在ウィリアムと名乗り彼の弟して隣にたつウィリアムだった。この時のウィリアムはウィリアムという名前ではなかったのだろうか。アルバートが風邪をひいてこられなかった間にここにやってきたようだが、既に子供たちの中心にいる少年。

 読み書きもラテン語もでき、博識で向上心もある兄弟。ここに来る前は閲覧室に勝手に入り込むほどに学問が好きで大人も舌を巻くほどだそうだ。その時はこの二人はアルバートにとっては珍しい存在だ、と認識した程度に過ぎなかった。

 貴族は慈善活動をすることが義務のようになっていた。本心で慈善活動をする無知な人もいるようだが、普通は私腹を肥やす貴族がほとんど。社交界で孤児を養い子にすることが流行り、貴方ももちろん賛同してくれますよね? と言われれば断ることもできない。アルバートの父親も同じように断れず、養い子を迎えると約束をしてしまった。このせいで夫婦喧嘩が勃発し、家庭内の空気は不穏なものに。父親も別に本心から養い子を迎え入れたいと思っているわけではないため、ラグド・スクールによく顔を出しているアルバートに適当な孤児を見繕ってこい、と一任してしまう。

 そういったつもりでスクールに出向いていたわけではなかったアルバートは気が重かったが、スクールにやってくると後のウィリアムが、誰からも頼られる存在であることが目についてくる。学外の大人たちとなにやら地面に数式のようなものを書いて深刻そうに話し合いをしている姿も見た。アルバートが近づくと皆クモの子を散らすように去ってしまったが、ウィリアムはこうやって自分の知識を回りに貸すことでお金や食べ物をもらえる平和な生き方である、とアルバートに語ってくれた。彼が見てきたどんな孤児よりも頭がよく、聡明でスマートな子供だった。

 数日後、とある貴族の家の金庫が破られたというニュースが流れる。40ヤードにも及ぶ地下を掘り進めての金庫破りだったそうだが、横柄な態度で庶民からかなり煙たがられていた貴族だったために、同情の声よりもざまあみろ、という感想が多く上がっていた。この手口を聞いた時、アルバートはウィリアムが男たちに何かを教えていた時の様子を思い出す。もしかしたら、この事件を手引きしていたのはあの少年なのか?

 確証は持てなかったアルバートだったが、礼拝堂で彼が子供たちに囲まれているシーンを目撃して、あの事件の手引きが彼だったことを確信しる。子供たちは、彼に貴族は偉い人達だけど、嫌な貴族もいるという話をしていた。少年が子供たちに尋ねる。「悪い貴族が現れたらどうする?」 と。すると子供たちは「悪い貴族はやっつけろ!」と拳を掲げて声をそろえて宣言した。これは、少年が皆に教えている言葉だ。彼は、悪い人間を排除すれば理想の国になると考えているのだ。

 その日は少年に会わず家に戻ったアルバート。すると、怪我をしたメイドが廊下を賭けていた。その先に現れたのは実の弟のウィリアムだった。どうやら彼の前であのメイドは何か失敗をしてしまったようだ。それをフォークで突き刺すなどの暴力的な行為をこの弟は行ったのだ。下級階級の人間を見下し、暴力的行為を働くことを当たりまえに思っている彼を見て、先ほどの少年との違いに愕然としてしまう。

 アルバートは後日、少年を呼び出し「悪い貴族はやっつけろ」と礼拝堂でいっていたところを見ていたことを明かす。あれは素晴らしい抗議ではあるが、貴族を敵にまわしてしまうのでは? と問うが、少年はそんなことは最初からわかっているようで、自分ならこの国と闘えると信じているようだった。

 命の価値は同じはずなのにこの国ではそれがない。人々に呪いのように振り抱える階級制度。この階級制度が人を悪魔にしてしまう。だが、悪魔が消え去れば呪いは消えるのではないか? 少年はそうなった時のこの国をみたいと思わないか? と妖しく笑いながらアルバートに問いかけた。

 そして、屋敷が燃えている様子が映される。アルバートは少年とその弟と共にいた。燃えている屋敷は一体? ここから彼らが兄弟になるまでの過程、なんとなく想像はつくが、考えるだけで空恐ろしい気持ちになる。ここから始まる物語にもかなり期待ができそうだ。

TVアニメ『憂国のモリアーティ』モリアーティ家の兄弟の過去を遡った第2話のページです。おたぽるは、アニメ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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