アニメ『フルーツバスケット 2nd season』由希の成長の重点が置かれたシーズンだった第25話

『フルーツバスケット』公式HPより

 とうとう2nd seasonも最終回。今回は原作17巻96話・97話のエピソードである。

 年が明け、卒業式の準備が進む中少しずつ何かが変わっていく気配がしてくる。新年の挨拶にやってきた紅葉は紅野にDVDを渡せた、と報告してくれる。見てくれるかどうかはわからないが、そのDVDの中に込められているうおちゃんの気持ちが届けばいいと願うばかり。

 そんな中、紅野は誰にも言い出せないでいた秘密を持ち続け、いつものように慊人の側にいた。他の十二支とも公に関わることなく、外界と接することもなくただ慊人の側でそのコロコロ変わる態度に我慢強く根気強く向き合っていた。

 だが、そんな彼に対して快く思わない存在もいた。それが紫呉だ。紫呉も慊人のお気に入りだが、慊人に「なぜ自分を一番に考えない」などと責められると「自分こそ紅野を選んだ癖に」という対抗心をあらわにする。 紫呉は彼に対して違和感を持っているのだ。はとりにその違和感を感じたことがないのか、と問うが他の十二支はまだそのことについて、思いすら至っていない様子。

 紅野は、紅葉から渡されたDVDを慊人から隠れてみて自分もうおちゃんに会いたいという気持ちを持っていることを再確認してしまう。そのことに恐れを覚えた彼は紫呉宅に、透くんに、電話をかけてしまう。

 まさか紅野から連絡が来るとは全く予想していなかった紫呉がこの電話をとってしまったことで、紫呉は彼のもっている違和感について核心をついてしまう。

 誰も知らないところで、誰よりも早く答えにたどり着いてしまう男、紫呉。彼はしってしまった事実を誰にも悟らせないままに、透くんが紅野に遭遇してしまうように仕向け、ここから一気にクライマックスへと向かっていく。

 紫呉にお使いを頼まれて出かけた透くんは、公園で紅野と出会う。それは紫呉に仕組まれた出会いだった。酉の物の怪憑きであるはずの紅野の周りから、いっきに鳥が飛び去ってしまう姿に違和感を持つ透くん。さらに、彼は思い知らせるように彼女を抱きしめるが、なぜか変身をしない。物の怪憑きは異性に抱き着かれてしまうと変身してしまうはずなのに。

 そう。紅野はもう既に、十二支の呪いが解けていたのだ。

 十二支の呪いを解きたいという願いを持っていた透くんにとって、目の前にその願いをかなえた存在がいる。どうしてそうなったのか、どうやったら解くことができるのか、呪いが解けたのなら、なぜ慊人の側にいてうおちゃんに会いに行かないのか。聞きたいことは山ほどある。

 しかし紅野本人にもなぜどうやって呪いを解くことができたか、理由はわからないという。本当に突然何の前触れもなく溶けてしまった慊人(神)との絆。悲しさと嬉しさとないまぜになったような感情に襲われ、視界が開け一人の人間になったことを実感したのだという。だが、呪いが解けたことは慊人もすぐに感じ取ったらしい。慊人もこの事態を想像もしていなかったようでかなり取り乱したようだ。
 
 絆が途切れたことで大きな不安を感じたのか「僕を捨てないで」と泣きすがる姿を見てしまった鳥野は、その哀れな姿を突き放すことはできない、と慊人の側にいることを選んだようだ。

 十二支がいるから慊人という神の存在はいられるわけで、誰よりも彼らとの絆が切れてしまう事を恐れているのはほかならぬ慊人だったのだ。だから慊人は紅野の呪いが解けたことを誰にも漏らさず、他の十二支と紅野も遠ざけ完全に隠し通して何年も過ごしてきていた。

 紅野は慊人の家庭環境や立場などをよく知っていたからこそ、その哀れさからも慊人から離れられない理由になったのだろう。男の子として育てられてはいたものの、か細く弱い女の子だった慊人を突き放すことはできなかったのだ。

 恐ろしい当主、という印象を持っていた慊人が実は女の子だったこと、自分が望んでいた呪いを解いた存在が目の前に現れたこと。この事実を受けて、透くんはどんな行動をとるのか……。

 2nd seasonは由希の成長に重点が置かれていた。次期は辛く重たい話もたくさんでてくるが、最後の最後の透くんの笑顔に続いていると思えば必要な道だ。

 「フルーツバスケット The Final」は2021年放送決定らしい。早い再会を心待ちにしている。

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