『映画 すみっコぐらし』オタク的見地から語ってみる なお、一人で見ると慰められつつ悲しくあるので注意しよう!!

■ちびっ子たちも没頭させる『すみっコぐらし』の魅力

「すみっコぐらし」のすみっコたちは隅っこが好きで、目立つことが苦手で、あまり自己主張をしません。ネガティブといえばネガティブですが、皆優しくて、穏やかな時間を過ごそうとするところが、何かとストレスが多い社会人の人気を獲得したわけです。

 映画『すみっコぐらし』でも、そういった特徴を上手く生かしており、ひよこのために動き回るすみっコたちの姿に、全力で「いいんだよ」と言われているような安心感、承認されたような感覚を覚えます。

 しかし、ただのお涙頂戴ものだとは個人的には思えません。まんきゅう監督は、長年にわたって、TVアニメのショートギャグ作品に携わってきたクリエーターです。

 映画『すみっコぐらし』も、テンポは良く、あちこちの絵本の世界を行ったり来たりするという物語の構成上、場面の切り替わりが頻繁で、さらにクスリと笑わせるシーンも多いです。一部の邦画にありがちな、グダグダと長いシーンで泣かせる・感動させる、といった演出とは正反対。

 幼児が相手ですから、長時間尺は難しかったという側面もあるでしょう。東映アニメーションの劇場作品などを見ても、上映時間を50~70分程度にまとめていますから。それにしても、まんきゅう監督の手腕はお見事だったなと思います。

 ちなみに筆者は、休日の午後、大型ショッピングモール内にあるシネコンで本作を観賞しました。周囲の9割以上は家族連れで、中年男性で仕事で見ている筆者としては、肩身が狭く、あまりのアウェー感から逃げ出したくなるほどでした。

 上映前、ちびっ子たちは元気にはしゃぎ回り、ポッポコーンをモリモリと食べコーラを飲み、館内はさまざまな飲食物の匂いが充満しておりました。「まともに映画を観れるのだろうか」と危惧してしまうような状況でしたが、上映が始まると一変。

 ちびっ子たちはものの見事に映画『すみっコぐらし』の世界に没頭し、すみっコたちの一挙手一投足に喜んだり笑ったり、悲鳴をあげたり、夢中で楽しんでいました。筆者の隣の席にいたちびっ子は、ほこりを画面隅に見つける度に「ほこりいた!」とうれしそうに親御さんに報告していました。

『映画 すみっコぐらし』オタク的見地から語ってみる なお、一人で見ると慰められつつ悲しくあるので注意しよう!!の画像3
『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』公式サイトより

 TVアニメ放送といった下地なし、初見で飽きっぽいちびっ子たちを画面に集中させるというのは、本来なら至難の業です。映画『すみっコぐらし』は、それだけの魅力を兼ね備えた作品と言えるでしょう。

「このシーンの感想を記事の中心に据えよう」「粗を見逃さないぞ」などと考えながら鑑賞していた筆者の10倍以上、ちびっ子たちは映画『すみっコぐらし』を楽しんだことでしょう。

 嫌なおじさんになってしまった自分に気づき、それなりにショックです。また、フードコートで食事をしていたら、隣のテーブルで家族連れが楽しそうに映画『すみっコぐらし』の感想を話し合う姿を目撃し、「俺は何をやっているんだろう」とも思いました。単身で鑑賞を予定されている方は、日時にご注意ください。
(文・馬場ゆうすけ)

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