本好きのための、本好きに捧ぐ、ビブリア・ファンタジー『本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~』。第8話が放送された。
第八章 ルッツのマイン
本格的に紙作りの作業が始まった。マインとルッツは作業用の倉庫を借り、必要な道具を揃えていく。さらに二人は森へ行き、木の枝を蒸して紙を作ることに。だが、慣れた様子で紙作りを進めていくマインに、ルッツはさらに違和感を募らせる。紙ができたら話をしたいと言うルッツ。そして最初の紙が完成した時、ルッツはマインに、これまでの疑念をぶつけるのだった。
本格的な紙づくり。紙なんて小学生のころに牛乳パックから作ったことがあったかな程度だ。何が必要でどんな過程があったかも覚えていない。しかし、マインはキチンとおさえている。
何が必要かなんて、学者や職人でもなければわからないだろう。洗礼式の前の子供がその方法を考え出せるなんて、誰も思いはしない。それはルッツも同じ考えだ。だからこそ、紙づくりについて大人相手にテキパキと指示を出すマインにいぶかし気な視線を送るのだった。
しかし仕事と、怪しいと思う気持ちは別物。ルッツは元々真面目な子なので、自分に与えられた仕事はまっとうするいい子だ。
まずは紙を作るために材料となる木を選定するところから始まる。森にいって手頃な木を蒸していると、マインが真っ赤な実を発見する。その実を手に持つと、突然弾け周りに小さな芽が生えぐんぐんと育っていった。
あまりにも突然で急激な出来事に恐怖を覚えたマインは、ルッツを大声で呼ぶ。するとルッツは仲間たちを集めて、あっという間にその木を刈り取りつくしてしまう。
なんでもこの実はドロンベという実で、周りの植物の栄養を奪い取って自分の栄養にして成長する害のある木なのだそう。大きくなると騎士団に報告して退治してもらうようなレベルの危険な植物だという。
ドロンベなんて初めてみたというマインに、さらにルッツは疑惑を深めていく。この疑惑に満ちた冷たい瞳が見ていて辛い。
とりあえず手に入ったドロンベも含めて紙作りを行うマインたち。竹箸を使って器用に紙作りを行う。日本人ならば当たりまえのお箸も、この生活では誰も使ったことがない道具だ。
そんな箸をさも簡単そうに扱うマインとそれを疑いのまなざしで見つめるルッツ。二人の間に重苦しい空気が流れる中、紙が完成する。
あとは乾かすだけの段階になったとき、とうとうルッツがマインに直球を投げかける。いったい、目の前にいるマインは誰で、本当のマインはどこにいるのか、自分の知っているマインを返してほしい、と。
マインはそのルッツの言葉を静かに受け止め、返してもいいけど残るのはマインの死体でしかないと思う、とルッツに返答する。
彼女が戻っても、本当のマインがそのまま戻ってくるわけではない。ルッツは本当のマインが、今のマインに食べられてしまったのではないかと疑っていたが、現マインはなりたくてマインの体に入ったわけではない。
体力もなく何かあったらすぐに倒れてしまうこの体。ルッツだったら選ぶかどうかと問われ、彼ははっとする。そう、マインが全てを奪ったように考えていたが、マインだって苦しんでいたのだ。
ほぼ1年、ルッツがマインとして接してきていたのは今のマイン。ルッツが知っているマインのほとんどが、今のマインだったのだ。
今のマインにとって、紙を作ることだけが心のよりどころで、それを誰にも分かってもらえず、母に実験で作った木簡が燃やされたときには「もうこのまま熱に食べられてもかまわない」とまで思った。
それを救ってくれたのが、ルッツと交わした「オットーさんに合わせる」と約束だ。その気持ちを和らげてくれたのだ。
この世界で頼れるルッツから、いなくなってほしいというのであればそうしたい、とまで思ったマイン。色々な話を聞いて腑に落ちたルッツ。
「俺のマインはお前でいいよ」
という名台詞を残し、この問題は解決を見せた。この二人がギクシャクするの本当に悲しい。マ
3種の紙も完成し、ルッツも見習いとして認められ波に乗ってきた今。ここからマインたちの紙づくりは本格始動していく。
(文=三澤凛)
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