■『ハロー・ワールド』のいいところ2:ヒロイン・一行瑠璃がかわいい
ヒロイン・一行瑠璃は、少年・直実くん、青年・ ナオミ2人の主人公から愛される役どころ。主人公2人の「彼女を守りたい!」という想いに共感できないと、物語への没入感も薄れてしまうことでしょう。
3DCGを2Dっぽく表現している『ハロー・ワールド』。所々、「ん?」と感じるシーンがあります。特に人間の芝居つけは、いかにもCGだなと思える、もたもたした動きをしていた時もありました。
しかし、瑠璃は堀口キャラのビジュアルを損なうことなく、徹頭徹尾かわいらしく、魅力的に描かれています。彼女だけは仕草もかわいらしい。自室で、ゆったりとした服装で読書をしているシーンなどは最高です。
演じているのは女優・浜辺美波さん。声優経験は浅い方ですが、序盤の瑠璃は不愛想で、物事を淡々とこなす、ですます調のかっちりとした話し方をするというキャラクター。
正直、浜辺さんの演技が上手かったのか下手だったのか、よくわからないぐらいで、声優経験が浅い人気女優をキャスティングするには、ぴったりなキャラ。少なくとも、瑠璃の芯の強さみたいなものは感じ取れる演技ではありましたし、アニメファンでもストレスを感じることはないでしょう。とにかくかわいいです、瑠璃。
一方、少年・直実役の北村匠海さんの演技は、やや厳しいなと感じましたが、一方で青年・ナオミ役の松坂桃李さんの演技は達者でした。
『天気の子』の須賀圭介役の小栗旬、『プロメア』のガロ役の松山ケンイチ、クレイ役の堺雅人と、今夏のオリジナル劇場アニメでは重要な役を俳優さんが演じているケースが目立ちますが、やはりしっかりとした俳優さんは、声優業も上手いものです。
■『ハロー・ワールド』のいいところ3:京都の町並み、しっかり怖い「狐面」
舞台となっている京都の町並みはとても美麗で独特。公開に際して行われたプレミアイベントは京都の東本願寺で行われ、京都府知事、京都市副市長が出席しただけのことはあります。
伏見稲荷、鴨川デルタ、上賀茂神社といった京都の名所もしっかり出てきますし、終盤では京都タワーが、「ゴジラでもここまで壊さねえよ」というぐらい破壊されたりもします。見応えがあります。
また、これは公式サイトやウィキペディアには記載がなく、映画館でのスタッフロールで気づいたのですが、デザインワークスを『うしおととら』『からくりサーカス』などで知られる、マンガ家の藤田和日郎さんが務めています。
直実、ナオミ、瑠璃の3人の前に、データ世界の自動回復システム「狐面」が現れるのですが、これがまた不気味で何とも言えない存在感を発揮しているんです。また、ラストでは、自動回復システムが巨大怪獣化するのですが、「この世ならざるもの」っぽい、異質で印象的なデザインとなっていました。この辺が藤田さんのお仕事なのでしょう。さすがです。
■デートムービーの皮を被ったファン向け作品
人気の俳優・女優さんを起用し、CMではかわいい女の子のために、過去の自分と力を合わせて男の子が頑張るという、デートムービーのような、『君の名は。』のフォロワーのようなにおいを漂わせつつ、蓋を開ければ、独自の世界観を見せつけまくり、ストーリーはSFで、鑑賞者を驚かせるラストを仕込む……。
『ハロー・ワールド』はいろいろな意味で、いい感じの意欲作でした。挑戦的といってもいいと思います。もちろん、胸がキュンとする、さわやか恋愛映画という一面もしっかりありますが、映画館でカップルをポカンとさせ、アニメやSFのファンをニヤリとさせるような、こういう作品がヒットするといいなと感じたので、ポジティブに紹介してきました。
正直、CGをはじめ、気になる箇所は多々ありますが、それでも『ハロー・ワールド』は一見の価値がある作品です。
(文・馬場ゆうすけ)
『ハロー・ワールド』デートムービーと思いきや、さわやか胸キュン恋愛映画の皮をかぶったSFものだった!のページです。おたぽるは、映画、その他、伊藤智彦、松坂桃李、浜辺美波、北村匠海、ハロー・ワールドの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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