ありがとうメッセ! 永遠なれメッセ! 虎のラーメン伝道師・メッセンジャーの単行本から思い出を振り返る【引退記念】

■あんなデカい体で走りまくっていたメッセンジャー

『すべてはタイガースのために』では、自身のトレーニング、調整方法についてもかなりの紙幅を割いています。

 毎年のように規定投球回をマークしたタフネスぶりは、どんなトレーニングから生み出されているのか。阪神ファンならずとも注目ポイントかと思いますが、至ってシンプルで、「とにかく走ること」と力説しています。

 メジャーでも、実績を残す投手は皆よく走ること、マイナー時代に過酷な走り込みを経験したことを説き、阪神時代でもノンストップで走り続ける「ロングディスタンス」という、長距離ロードワークを大事にしていたとメッセンジャー投手。

 日本の野球事情に詳しいメッセンジャー投手は、「カブスのダルビッシュ有投手が『日本人は長距離を走りすぎ』と提言したことも知っている」と前置きした上で、「ジョギングのような走りを指すなら、僕も賛同」としています。

 しかし、「ロングディスタンス」は平坦なところをただ走るのではなく、階段や坂道の昇り降りなど起伏あるコースを、ダッシュも交えながら走るのだとか。メッセンジャー投手がスタジアムの階段を昇り降りしているシーンを、阪神ファンならキャンプ中継などで目にしたことがあるでしょう。あれが「ロングディスタンス」だったんですね。

 なお、阪神ではメッセンジャー投手に次いでよく走る投手は、能見篤史投手と秋山拓巳投手なのだとか。実績十分なベテランと中堅ですね、若い投手は何をしているのでしょうか。阪神ファンとしては、悲しい気持ちになります……。

■【悲報】メッセンジャー投手の溢れる阪神愛が若手に伝わっていなそうな件

「いつの間にか、年齢が上なのは球児、能見、福留さんの3人だけ」と書いているように、在籍年数も年齢も、阪神タイガース内はすっかり年長組となったメッセンジャー投手。

 だからでしょうか、走り込みの大切さ、相手バッターや投手をしっかり観察すること、キャッチボールを大事にする……といったことを、阪神の若手選手たちに切々と語っています。

「なるほど、いいこと言っているなぁ」と感心してしまうことばかりなのですが、こういったメッセンジャー投手のメッセージは、阪神の若手投手たちに伝わっているものでしょうか。悲しいことに、あまり伝わっているようには感じません。

 例えば、メッセンジャー投手は、近年、不振に悩む藤浪晋太郎投手について、「俺も昔は同じように背の高い細身の投手だったし、気持ちは分かる。もっと自分のところにいろいろ、聞きにきてほしかった」なとと、語っています。

 メッセンジャー投手は198cm、藤浪投手は197cmと身長も近いです。最高のお手本だろうと思うのですが、寡聞にして、藤浪投手がメッセンジャー投手にアドバイスを求めたというエピソードを知りません。

『すべてはタイガースのために』には「タイガースの素晴らしい仲間たち」という章があります。選手目線ならではの、チームメイトの意外な一面やエピソードを紹介しているのですが、藤浪投手に関しては、「もっとシンプルでいい」と語りかけ、「最強レベルの投手になれると思う」と、励ましとも慰めとも言えないメッセージを発しています。

 メッセンジャー投手のもどかしさが伝わってくるようで、阪神ファンとしては残念で悲しく、寂しい気持ちになります。引退会見でメッセンジャー投手は「失敗から学ぶこともある」と熱く語りました。ラストメッセージが、藤浪投手をはじめとする若手投手たちに伝わることを願ってやみません。

■ありがとうメッセ! 永遠なれメッセ!

 10年間もいただけに、メッセンジャー投手にまつわるエピソードは、いくらでも思い出せます。

 リリーバーとして来日した当初は、大した成績を残せなかったですし、審判の判定に激昂したり、スタンドに向けてF○CKポーズをとってみたり、太り過ぎてバッティング投手のように打たれまくった時期には「バッセ」と呼ばれたり……。

 決して聖人君子というわけではありませんが、闘志を全面に出し、投げまくっていたメッセンジャー投手の雄姿は、それはそれは格好良かったものです。

 長めに休養する、あるいは同じ阪神タイガースのベテラン投手・能見篤史投手のように短いイニングを投げるリリーバーに転向するといった方法はなかったのか……さまざまなことを考えてしまいます。

 しかし、外国人選手としては異例の引退試合が開催されますし、功労者として球団も何かしらのポストを用意するとコメントしています。鳥谷敬選手をはじめ、功労者に冷たいことで定評がある阪神タイガースが、メッセンジャー投手には花道を用意してくれたわけですし、ここは気持ちよく送り出すべきなのでしょう。

 ちなみに『すべてはタイガースのために』では、引退後の生活について「まったく想像ができない」「家族のサポートをしたい」などと触れています。

 メッセンジャー投手の末っ子・ローランドくんは「阪神タイガースでプレイしたい!」と語っているそうなので、いつかメッセンジャー2世が甲子園で活躍してくれることを妄想しながら、この稿を締めたいと思います。

 ありがとう、平成最強の助っ人・メッセンジャー! 29日の最後の投球を目に焼き付けながら、また我々の前に姿を見せてくれる日を楽しみに待ちたいと思います。まぁ、吉村家か、神戸の家系ラーメン屋の前で張っていたら、会えそうな気もしますが……。
(文・馬場ゆうすけ)

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